胃腸病よくある質問集の答え
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ドクター・寺田 胃腸病よくある質問(FAQ)集 


A
最近排便の時に血が混ざります。自分では「痔かな・・・」と思っているのですが、不安です。大腸検査は必要でしょうか?また何科に行けばよろしいでしょうか?
A 排便時に出血する病気として腸の病気と肛門の病気が考えられます。いわゆる痔 (ぢ)を痛いものだと思っている方が多いのですが、痔には内痔核と外痔核というものがあり、内痔核は肛門の奥にできる為に痛みはあまり伴いません。便がこすれる事により浮腫みが強くなり出血するようになります。また、硬い便をした後や、強くりきんだ後に肛門粘膜が裂けると、いわゆる切れ痔(裂肛)となります。切れ痔は強い痛みを生じます。
 内痔核の脱出(脱肛)がひどくなると肛門科に受診される方が多いのですが、排便時の出血は自然と止まってしまうこともある為、診察に行かず、様子を見てしまう方が多いのも現状です。たしかに痔では命までとられませんから(出血がひどい場合は除く)、症状が落ち着いている間は市販の軟膏薬や便を軟らかくして様子を見てもよろしいと思います。
 しかし、「ただの痔だと思っていたら・・・」ということもあるのです。痔がひどくなる原因として便秘があげられますが、便秘の原因として大腸の狭くなる病気、いわゆる「大腸ガン」があります。つまり、「痔かな・・」と思っていても排便時の出血があった場合は大腸検査をお勧めします。大腸に出血病変がなければ、肛門の疾患として安心して暮らせますし、検査にて、症状を呈さないようなポリープが見つかることもあります。さて何科にいけば良いかということですが、検査でつらい思いをするのは非合理です。大腸カメラの専門家を探しましょう。しかし、胃腸科と肛門科の両方を受診するのも大変ですから肛門の診察と大腸カメラの両方得意な専門家に相談するのがよいでしょう

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A
最近よく耳にするピロリ菌って何でしょうか?
A ピロリ菌とは、胃の中に感染し、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの原因になるとされ ている菌のことです。ピロリ菌の陽性率は、胃潰瘍で7割、十二指腸潰瘍では9割近くもあると報告されています。
 長年、胃酸のような強い酸の中には細菌は生息しないと考えられていましたが、オーストラリアの研究者が慢性胃炎の人の中から、細菌の培養に成功し、後にヘリコバクター・ピロリと名付けられました。ピロリ菌は胃の粘膜内にもぐり込み増殖し、毒素を分泌することで炎症を起こしたり、ひどい時には潰瘍を作ります。 ピロリ菌は免疫力の弱い幼児期に水、食べ物、唾液から感染するといわれていますが詳細はいまだ不明です。日本においてピロリ菌に感染している人は3000万人から4000万人と推定されており、感染率は若年層では低いですが、40代以上の中高年層では8割以上と高くなっています。ピロリ菌に感染した人のほとんどが慢性胃炎になりますが、潰瘍になる方はその中の一部の人であり、胃がんになる方はもっとまれです。
 かつて、潰瘍の原因はストレスや胃酸過多、暴飲暴食が原因とされてきましたが、原因のほとんどがピロリ菌によることがわかってきました。ピロリ菌が慢性胃炎を引き起こすと胃粘膜を脆弱にするため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすくなります。こうした潰瘍疾患に対しピロリ菌の除去治療を行うと再発率が極めて低くなり、いままで難治性の潰瘍であっても除菌治療で完治する例が多くみられるようになりました。日本では平成12年より除菌療法が本格的に始まり、潰瘍に対して日常臨床上、広く実施されるようになってきました。ピロリ菌の検査は、息による検査や胃内視鏡(胃カメラ)により採取した胃の粘膜を調べ判定します。潰瘍を患った方はもちろん、普段から胃の調子が悪い方はピロリ菌が悪さしているのかもしれません。早期発見、早期治療により不安のない毎日を過ごしましょう。
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A
一日に3〜4回便が出ることで悩んでいます。 下痢をしているのではないのですが、突然の便意に襲われます。精神的なものなのでしょうか?(29歳 男性)
A 近年「過敏性腸症候群」という疾患が話題になっています。普段から「胃腸が弱い」と感じ、慢性の下痢が、食事と無関係に起きる疾患です。特に会社や学校に行く日の朝食後にお腹の調子が悪くなったり、トイレにすぐ行けない状態の時に下痢を起こします。腸に形態的な異常がないにもかかわらず、腸が正常に機能しない疾患です。
 便意が強く、便をしたい気持ちは強い(おなかがしぶる)のに十分排便がでなく、残便感や不快感が残ります。休日や体がリラックスしている時には、症状は現れません。腹痛の部位や程度は人によって様々ですが、左下腹部にでることが多いようです。
 原因としては、胃腸と脳は自律神経によりつながっているため、脳が不安や精神的圧迫などのストレスを受けると自律神経を介してストレスが胃や腸に伝達され胃腸の運動異常を引き起こし、腹痛や便通異常が発生するためです。
 治療方法としては、まず、消化器系の検査を受け、器質的病変(腫瘍、潰瘍、炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎など)がないことを確認しなければいけません。年齢が若くても起きる疾患は多いので、まず、これらを除外しなくてはいけません。そして、生活環境や行動の変化などが、便通異常や腹痛などに影響があるか否かを分析します。リラックスした生活を目指すため、日常生活の見直しも必要です。軽い運動、スポーツや趣味を活かしたストレスの発散、十分な休息・睡眠をとることが大切です。
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A
最近食事が喉を通らず、体重も減っています。検査が必要でしょうか(46歳 男性)
A 食欲は脳の視床下部というところにある食欲中枢にてコントロールされます。空 腹になると、胃の中が空になって収縮する運動や、血液中の血糖値が低下に食欲中枢を刺激して食欲が起こります。食事をして血糖値が上がると、食欲中枢の満腹中枢は それを感じて食欲がおさまります。視床下部には自律神経の中枢もあることから、ス トレスや胃腸の不調で自律神経の働きが乱れると、食欲中枢も影響を受けて、食欲不 振となります。ストレスは胃腸の働きを低下させ、一時的に食欲を低下させますが、 ストレスが消えると食欲は戻ります。しかし、問題となるのは長期の食欲不振による体重の減少です。これは悪性腫瘍(食道癌,胃癌,膵臓癌,大腸癌)の進行した状態での自覚症状とも考えられますので早急の精密検査をお勧めします。
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A
1週間吐き気が止まりません。何の病気が考えられるでしょうか?
A 悪心・嘔気を引き起こす原因は中枢性と末梢性に分別されます。中枢性は一般にめま い、頭痛などを伴い脳圧が亢進された場合(脳出血、脳腫瘍)や嘔吐中枢への直接的な刺激(薬剤中毒)、精神的刺激(ストレス、神経性)が原因で起きます。一方末梢性は反射性とも呼ばれ、胃や上部小腸の病気によって通過障害がおきた場合に多くみられます。中枢性の場合は早急なる診断・治療を施さないと生命の危険もあります。発症前の食事内容、嘔気発生からの経過時間、薬物服用の有無、消化器症状、全身症状、神経症状などを総合して診断をしますが、治療が遅れれば遅れるほど症状は改善しにくくなるため、的確な診断を早めにうけ対処することが必要です。また女性の場合は妊娠も考え検査薬や産婦人科への受診も必要であり放射線の被曝には気をつけなければいけません。
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A
56歳女性
最近急にお腹が張るようになってきました。やはり検査が必要でしょうか?
A 「胃にガスが貯まり重苦しい」という症状は胃の運動低下からくる消化不良のために 起きます。食べたものが胃に停滞して腸に流れていかないのです。胃の運動低下は胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌などによります。 「おなか全体が張って苦しい」という症状は腸の運動低下からくるもので、腸内に貯まったガスが排泄されず、腸が拡張する為に起きます。 ガスが貯まる原因は腸内の炎症や便秘の原因となる「通過障害」があることが推測されます。腹部の手術既往がある方は一番に癒着性の腸閉塞を疑いますが、そうでない方は、大腸癌が腸の内腔を狭めてしまっていることも考え早めの検査をお勧めします。
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A
腹痛や下痢が続き時々便に血が混ざります。何か悪い病気でしょうか心配です。(26歳男性)
A 炎症性腸疾患という病気があります。大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の腸炎のことで潰瘍性大腸炎、クローン病に大別されます。
 原因は腸内に棲む細菌のバランスが崩れたこととする細菌説。人間の免疫機構(体を外敵から守ろうとする体内の防衛システム)が体の一部であるはずの大腸の粘膜を敵として認識して攻撃し破壊しているという自己免疫異常説。また食生活やストレスが大きく関与している説などさまざまですが、結局はっきりした原因はわかっていません。 発症年齢は男性で20〜24歳、女性で25〜29歳をピークとします。
 初期の症状は腹痛とともにゼリー状の粘液が排便時に多くなり下痢の傾向になります。放置しておくと粘液の量が増えるとともに血液が混じるようになり(粘血便)、血便が出るようになります。さらにひどくなると一日に何十回も粘血便を繰り返し体重も減少します。まれに便秘も認められます。一般に経過は緩やかで悪くなるとき(再燃)と、良くなるとき(緩解)を繰り返しますが、電撃的に急激な発熱と粘血便で発症するときもあります。多くの場合薬物療法や食事療法にて一時的もしくは永続的に症状は緩解しますが、症状が改善されても医師の指示があるまでは通院する必要があり、特に慢性持続型、発症から10年以上経過している例、全結腸型の例では癌化の心配もあり定期的検査が必要です。
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A
先日急激な腹痛とともに大量の血便がでました。近医にて「虚血性腸炎」という診断 を受けました。原因と治療方法を教えてください。
A 脳を養っている血管が詰まると「脳梗塞」になります。心臓を養っている血管が詰まると「心筋梗塞」になります。これと同じことが大腸にもおきて、大腸を養っている血管(腸間膜動脈)が詰まるとその領域の腸は血行不良が生じ壊死してしまいます。これが「虚血性腸炎」です。もともと高血圧や糖尿病、動脈硬化などの基礎疾患を持っている方に多く発症しますが、便秘の方に多く、お年よりだけではなく、若い方にもなることがあります。症状は、突然の腹痛と血便を呈します。診断は大腸内視鏡検査にて容易にできますので、大腸検査の出来る胃腸科への受診が必要です。治療は数日入院で絶食とし腸を休め、抗生物質を投与し炎症を鎮めます。若い人に発生した場合は4〜7日位の安静入院でよくなるのが普通ですが、全身状態の悪い御老人に発症した場合は数日以内に、腹膜炎、敗血症という経過をたどり重症となることもめずらしくありませんので早めの対応が必要です。
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A
医療技術が発達して『がん』は治るようになったと聞きましたがどうなのでしょうか?
A戦後、日本人の胃ガンによる死亡率が大きく減少しました。これはさまざまな要因(手術の進歩、術後管理の進歩、抗癌剤の進歩など)が言われていますが、最大の理由は、患者さんが胃ガンの心配から積極的に検査を行なうようになってきた為、胃カメラの進歩、胃カメラを施行する診療所の増加という面から、早期発見、早期治療が行われるようになってきたからです。しかし日本が欧米化し肉食が多くなるにつれ、大腸ガンによる死亡率が増加してきました。また慢性C型肝炎から肝臓ガンになる方や男性の肺ガン,女性の乳ガンも年々増加している状況です。遺伝子組み替えによるガンにならないようにする治療が近年研究されていますが現在の医療技術ではまだ不可能なことです。症状がある方はもちろん、症状がなくても定期的な検査をすることで早期発見、早期治療を心がけることが今のところガンに対する最善の対処と言えるでしょう。
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A
胃がんの手術について教えてください。(48歳男性)
A現在、胃がんの外科的治療法は(1)開腹手術(2)腹腔鏡下手術(3)内視鏡手術に分類されます。もっとも体に負担の少ないものは当然(3)の内視鏡手術ですが、すべての胃がんに適応がある訳ではありません。
 胃がんに限らず癌には進行度を表す指標があります。もっとも重要視されるのは癌の浸潤度(深さ)であり、深ければ深いほど癌はその外壁にある血管やリンパの流れに到達し転移をしやすくなります。内視鏡での切除は癌が深いとすべてをとり切る事ができないので、よほど浅く(粘膜内にとどまっている)、リンパ節に転移のないことが条件になります。内視鏡でとれない小さな癌は(2)の腹腔鏡下手術の選択になります。開腹手術より大きくお腹を開けないですむために患者の負担が少なく回復も早い方法ですが術者の経験に大きく左右されます。(1)の開腹手術は(2)でも(3)でもできない場合に選択されます。定型手術は癌の病巣部を含む胃の切除(亜全摘もしくは全摘)とリンパ節の郭清(病巣に近い転移を疑う部分のリンパの流れを遮断する)が基本ですが、手術中の所見によりリンパ節の転移がない小さい癌と判断された場合にはリンパ節郭清の範囲を狭め胃の部分切除を行う縮小手術も選択されるようになってきました。
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