健康・スクラップブック
エアロビック運動を始める前に
障害を起こさないように、最初は焦らず、無理をしない
まずは健康チェックから
慶應大学スポーツ医学研究センター教授 山崎元先生(「暮らしと健康」1996MAYより)
高齢化社会を迎えた今日、「自分のことは自分でできる」老人になるために、運動習慣を生活の中にとり入れることは、きわめて大切な意味をもちます。しかし、むやみに身体を動かせばよいのではありません。中高年者は、まず運動をしても安全であることを確かめる必要があります。男性ですと四十歳、女性では四十五歳以上の方は、自・他覚的に異常がなくても、運動のためのメディカルチェックを受けることをおすすめします。
具体的には、心電図を記録しながらの運動負荷試験です。糖尿病・高血圧・高コレステロール・肥満・喫煙などの危険因子をおもちの方はもっと若くてもメディカルチェックを受ける必要があります。
実践としては、個人のフィットネスレベに適した運動が必要です。これを運動処方といい、運動の種類・強度・時間・頻度を個人に合わせて作ります。
体力の向上や健康のいじ・増進のための運動の種類は、骨格筋を多く動員するウオーキング、ジョギング、自転車、水泳などがすすめられます。ジョギングは負荷量を正確に把握しやすく、誰にでもすぐにとり入れられる長所があるいっぽうで、腰や膝などに整形外科的疾患をおこし、長つづきしにくい短所もあります。
ウオーキングはその点安全です。
自転車はサドルに腰かけることから、体重には関係なく負荷が調節できます。エルゴメータで本を読みながら運動する人も増えています。これは肥満や腰・膝痛のある人に向いています。
同様に水泳は浮力がはたらき、足腰への負担が少ない利点があります。しかし泳ぎは技術的な個人差が大きく、運動強度を設定しにくい欠点があります。水中歩行をすすめる人が多いのはそのためです。
運動処方でもっとも注意が払われるのは、強度についてです。>持続的に一定の強度を保つ有酸素運動が原則です。
運動強度が低いうちは、運動に使われるエネルギーのすべてが、身体がとりこんだ酸素と脂質・糖質の反応によって産生されます。運動強度が高くなると、骨格筋内に蓄えられたエネルギーも使うようになり、血液中の乳酸が増してきます。そのレベル以下が「有酸素運動」であり、自覚的にはややきついと感じる程度に該当します。
運動の継続時間は、最低二○分、可能なら四○分くらいをすすめています。そして週に三回は実践することが望まれます。
ただし、これらの時間や頻度で行わないと、効果が期待できないというわけではありません。最近の研究結果では、運動量があるレベルを超えれば、急に効果がでるというわけではなく、運動量に並行して効果が期待できることがわかりました。強度・時間・頻度を増すと、整形外科的障害をおこす危険が多くなります。ましてや、まったく運動をしていなかった人が、すぐに前述のような運動処方を実践することは望ましくありません。
まず軽く動き、全身のストレッチングから始めます。運動習慣を自然に生活の中にとり入れ、生涯つづけることが大切なのです。
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