食品の安全性シリーズ 3

健康・スクラップブック

 農業は、調べればそれだけ疑問が深まるばかりです。
 農業は、多くの都会人がそうであるように、1世代か2世代前まで農家で暮らしていたが、都会に移り住むうちに、そうした営みもすっかりよそ事のように感じられます。

農業が抱える問題
 農水省は、農業基本法の改訂をすすめる中で、このほど(平成10年9月)「食料・農業・農村基本問題調査会」の答申を受けました。
 この答申のコンセプトは、「人口・食料・環境・エネルギー問題は地球的規模で課題となっており、未来に対する不透明感の下に、生きる上での安全と安心が切実な問題となりつつある」ということで、農業もその意味で構造的な変革が迫られています。

 そして、「食料・農業・農村の抱える厳しい諸問題」として次のものが上げられてます。

  1. 食料需給構造のギャップの拡大と食料自給率の低下消費者の求める商品と農家が作りたいものとのギャップ。そして、食糧自給率は、供給熱量自給率で42%、穀物自給率で29%(平成8年)と主要先進国の中で最低の水準で、輸入農産物に依存しており、現在の食生活を維持するためには、国内の農地面積の2.4倍に相当する海外の農地を必要とする状況となっている
  2. 農地の利用状況の悪化と農業の担い手の弱体化農地が捨て去られ、農業従事者の高齢化が進む
  3. 農村の活力の低下と国土・環境保全等の多面的機能の低下農村が空洞化し、国土全体の荒廃が心配される

   こうした問題を考慮するなかで、行政府がイメージする数年先の農業形態は、大規模で効率的な経営であるようです。

 しかし実態とは大きくかけ離れているため、こうした経営に移行するまで、次のような保護政策が引き続き行われます

 
   こうした農業をイメージされたのは、経済団体連合会や全国農協中央会、そして全国農業会議所が主体のようです。
 その詳細は、農水省のホームページ「農村政策に関する各種団体からの提言の概要」で確認することができます。

食生活の変容
  一方、私たちの食生活は、急激に変わりつつあります。夫婦共働きや単身生活(学生や高齢者や独身者、そして単身赴任者)の増加により、いわゆる「中食」と呼ばれるものの売り上げが伸びています。それは、弁当、惣菜、調理パン、そして加工食品(カップ麺やレトルト食品)など、手間をかけずにすぐに食べられるものです。
 また、「食べる時間」は、個・孤食化の傾向があり、「食事に時間をかけず、すぐに済ませてしまう」ことが多いです。
 つまり、家族はそれぞれバラバラに別のものを食べたり、別の時間に食べることが多かったり、そして食事の時間が不規則になりました。
 夫は通勤時間が長くなって夕食時間に間に合わず、子どもたちは塾などで帰宅が遅くなります。妻はパートなどで忙しいです。
 それで、食料白書(97)によると、コンビニエンスストアーの年間販売額は、l988年の約5兆円に対し、1994年では8兆3千億円と急成長しました。

健康に対する不安
 ところで、現代は大気汚染や水質汚染や農薬汚染や環境ホルモンなど、などさまざまな化学物質の中で生活しなければならないので、どうしても体の健康に不安を感じます。
 また、食生活は、相当大きな部分を外食産業やコンビニやファーストフードチェーン、そしてテイクアウト店(弁当屋、惣菜屋)などに頼ることになりました。そして、それとともに「食品の安全性」(の担い手)は個人から企業の方へシフトする傾向にあるようです。
 言い換えると、食糧の需給が、農家と消費者の関係のなかでは実感できずに、むしろ加工品の製造業者の方へ期待したり、または責任を求めたりしているようにも思えます。

 こうしたことを反映してか、「食品の安全性」は、食料の加工・製造段階で、HACCP(危害分析・重要管理点)手法の導入などにより、食料の衛生管理・品質管理の高度化に求められているようです。


用語解説
個食 家族が一緒に食事をしていてもメニューがバラバラのこと
弧食 家族がまったく別々の時間帯で食事をする
HACCP(危害分析・重要管理点)Hazard Analysis and Critical Control Point(=危害分析・重要管理点)の略で、「ハサップ」と呼ばれることもあります。もともとは1960年代に米国NASAのアポロ計画において、宇宙食製造の際の安全性確保を目的として開発された品質管理プログラム(東京都立衛生研究所の解説より)

参考資料:
農業白書(平成9年版)
食料白書「食生活の変容の潮流」(1997)(農山漁村文化協会)


関連URL:
食料・農業・農村基本問題調査会答申 農水省
農村政策に関する各種団体からの提言の概要 農水省
HACEPの解説 東京都立衛生研究所

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