生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology)
1996年、アメリカでは2万6000人の子どもが、生殖補助医療技術(ART)の助けを受けて誕生しました。
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)の「1996 Assisited Reproductive Technology Success Rates」(1996 生殖補助医療技術の成功率)のリポートによると、アメリカ全土で300のクリニックが、何らかの理由で子どもができず、「子どもが欲しいと切望する」カップルに対して、64036の治療周期(cycles)を行い、そのうち4件に1件の割合で生産(live birth)が達成されたということです。
何らかの理由で子どもができないというのは、
成功率の評価法は4つあるということですが、治療周期当たりの妊娠率は27.3%、治療周期当たりの生きて出産した割合は22.6%ということです(1996)。
一方日本では、今月(1999.5)6日に、厚生省から「生殖補助医療技術についての意識調査結果概要」が発表されました。
「生殖補助医療技術を利用したいか」、「一般的に体外受精を受け入れるか」、そして「借り腹や代理母についてどう思うか」などが、一般人や患者、小児科医、婦人科医などに質問され、答えが回収されました。
その結果は、「体外受精」というような、イメージとしての生殖補助医療技術に対して、賛否が相半ばしている模様です。
ARTのタイプ
生殖補助医療技術は、倫理的な問題や法律的な微妙さはあるものの、どのような技術が、どういったケースで使われ、どの程度の成功率があるのか、そしてリスクはあるのかなどの情報が、議論を深めるためにも必要です。
現在、行われている技術には次のようなものがあるようです。
| 新鮮胚/凍結胚 | |||
| IVF(in vitro fertilization) | 子宮頸部に胚を移植する | fresh | |
|---|---|---|---|
| frozen(凍結胚) | 14%(ドナーを含む) | ||
| GIFT(gamete intrafallopian transfer) | 配偶子卵子管内移植 | -- | |
| ZIFT(zygote intrafallopian transfer) | 接合体卵子管内移植 | -- | |
| AID(artificial insemination by donor) | 非配偶者間人工受精 | fresh | |
| frozen(凍結胚) |
そして、成功率は、自分の卵子と夫の精子を体外受精させた場合は、27%の妊娠で、そのうち14%が一人の妊娠、8%が多胎妊娠、5%が出産に至りませんでした。
また、年齢別の成功率は、20歳から35歳まではほぼ30%を超えているが、35歳以降はカーブが急な曲線を描き、減少していきます。
それとともに、ドナーエッグ(提供卵子)を選択するカップルの割合は、逆のカーブを描き、40歳を過ぎて急に増えています。
つまり、逆に言えば、女性の年齢は、自らの卵子を用いて人工受精する際に、治療の選択(informed choice)をするためのもっとも大きなファクターであるようです。
ARTのリスク
厚生省「第2回生殖補助医療技術に関する専門委員会」(1998.12.3)によると、卵子の日本の治療周期当たりの妊娠率は17.8%、生産率は12.6%ということです。
また、卵子のIVFの経費は、2000ドル〜4500ドル(20万〜50万円)です。
そして、最も気になるのは、生殖補助医療技術にまつわるリスクの問題です。
生殖補助医療の選択
出産適齢は、大体15歳から40歳前後とされますが、女性の高学歴化、経済的自立、自己実現への欲求の高まりなどとともに、晩婚の傾向がみられ、同時に1980年代後半から結婚した夫婦の出生過程の遅れが鮮明となっています。こうしたことも、生殖補助医療の治療方法の選択に影響を与えてくるのかもしれません。
厚生省の「第11回出生動向基本調査--結婚と出産に関する全国調査--夫婦調査の結果概要」によると、女性の平均初婚年齢は1987年に25.3歳でしたが、1997年には26.1歳に延び、大卒女性に限っていえば27.4歳になっています。
また、「環境ホルモンの影響により男性の精子数が減っている」とか「環境ホルモンに生殖毒性がある」などというようなことも言われるので、「出産は自然に任せて」と悠長に構えていられなくなるのかもしれません。