厚生省は「ある種類のプラスチックの原料、ビスフェノールAが、人の性ホルモンを撹乱(endocrine disrupters)し、生殖異変を起こす可能性がある」とヨーロッパやアメリカで調査と分析が始まり、危機意識を持ってその改善に取り組まれている問題に対して、「緊急性はない」という理由から、「アメリカの情報をモニターするだけで、何もしない」事を決めました。
日本のこの意志決定に関わる独自のデータは、残念ながら見つけることができませんでした。
その新聞記事は次のものです。
環境ホルモンで厚生部会
一部の学校給食の食器やおもちゃなどに使われている三種類のプラスチックが内分泌かく乱物質であるかどうかを検討する厚生省の食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会が十三日開かれ、「今日すぐに結論を出すほどの緊急性はない」として、今後、米国などの情報を引き続き収集していくことを決めた。
内分泌かく乱物質は、「環境ホルモン」として最近注目され、ごく微量でホルモンと似た働きをし、生殖などに影響を与える物質で、女性の乳がんや男性の精子数現象の原因ではないかとの指摘もある。
3.14.1998東京新聞日刊
今月(1998.3)のアメリカ政府機関のオンラインジャーナルには、「Environmental Health Perspectives Volume 106, Number 3, March 1998」(EHIS)「Learning to Knock out Male Infertility」(男性の生殖機能に何が起こっているのか)という記事が掲載され、ある種の化学物質が精子生成に悪い影響を与えるような、そのメカニズムの研究経過が述べられています。
アメリカでは、250万のカップルが不妊症に悩んでいます。遺伝的な要素があるとしても、これが次第に増えていることは何か理由があるはずだ、とアメリカ環境健康科学研究所の学者は考えています。
そこで、このリポートは、精子の生産と働きを正しく理解するため、マウスを実験動物として、遺伝子レベルで一つ一つの部品をしらみつぶし的に(gene knock-out technique)調べています。そして、どうやらGDPD-Sという酵素が、精子の受精能力に決定的な役割を果たしているらしいことが分りました。
つまり、ある種の化学物質は、このGDPD-Sという酵素に対して、スイッチをオンするとかオフにするとかのホルモンのまねをして、精子生成のメカニズムの中に参加してしまうようです。
またイギリスのuk-MAFF(The Ministry of Agriculture, Fisheries and Food )(イギリス農漁食糧省)は、缶製品の内側にコーティングされているプラスチックから、環境ホルモンとして疑わしいビスフェノールAが溶出する、そのレベルを調べています(1995.9〜1996.12)。
その検査結果は、ファイルBulletin No 89, October 1997のRESEARCH ON BISPHENOL A(ビスフェノールAの検査)で見ることができます。
181の魚や肉、乳製品、そして離乳食などの缶が調べられました。アンチョビとオイルサーディンの缶詰は暫定(3.20追加)基準値(SCF's temporary limit)の1 mg/kgを超えていましたが、それ以外はいずれもレベルを下回っていました。
ところで、日本の環境ホルモンの研究については、3.18.1998現在良いものが見つかりませんでした。
引き続き調べ、分り次第このページに付け加えていきたいと思います。
最も大切な安全性に関する資料は、いずれも8日から6ヶ月程度の短い期間の、いわば急性毒性を検査したもので、今問題となっているような「ある化学物質をごく微量、長期間とりつづけることによって起こるような健康被害」ついてカバーしている実験は見当らないようです。
また、日本において現在まで「内分泌かく乱作用」について研究されているのは、