霜降り和牛肉
和牛の収益性は、
「脱牛肉文明への挑戦」(ジェレミー・リフキン著ダイアモンド社)という著書によると、霜降り肉は外国ではあまり好まれないので、イギリスへの輸出用に飼養されたアメリカ産の牛や、日本向けに開発されたオーストラリア産の和牛くらいらしいです。
しかし、どういうわけか和牛(Japanese Cattle)は、海外でも「wagyu」で通用するのだそうです。
牛肉の消費量
ところで、日本人が1年に食べる牛肉の量は、食料需給表によると、一人当たり1965年の1.5kgから、1995年には8.3kgにアップしました。
1年に8.3kgということは、単純に一日量に換算すると22.74gになります。これをカロリー量に直すと、「和牛サーロイン脂身つき」で83kcal。または、一般的な牛肉(乳用肥育雄牛)の「サーロイン脂身つき」で54kcalと、カロリー量ではご飯半分程度と同じです。
平成8年国民栄養調査結果では、1996年の一日の肉類の摂取量は平均で82.3gですから、牛肉が肉類消費に占める割合は27.6%くらいということになります。
ハンバーグが普及したので、もう少し多いのかなと感じていましたが、案外少ないです。
農水省「食肉流通統計」、大蔵省「貿易統計」を調べてみると、平成9年の牛肉の輸入量は、65万8966(出回り量は65万8297)トン、国産牛の出回り量が37万1929トンです。
また、農林水産省の「わが国における主要農林水産物輸出入実績(1995年上位10品目)」によると、アメリカ合衆国からの(1.27修正)牛肉の輸入金額は、1,887,276(千ドル)で、1ドル114円として換算して、2660億円あまりです。
いつの間に輸入が増えたのかと、驚く人も多いと思いますが、自給率は、昭和60年(1985)に72%だったが、平成8年(1996)では39%になっています。
和牛は、1997年「食肉流通統計」の資料では、16万9244トン生産されました。この方面での技術発展は大変なもで、畜産試験場や畜産改良センターなどでは、飼料の給与方法や、各月齢における栄養の摂取量配分、推定赤肉量や推定脂肪量、そして推定骨量などが、科学的に研究されているようです。
農業は、調べると、情報集約的な産業のようです。
和牛と飼料の不適切な?関係
こうして調べ始めたのは、国産の牛肉が「以前、抱いていたような安全な感じ」ではなく、食用動物の免疫力の弱さや、内臓疾患など疾病率が高いと指摘されているからでした。
あるテレビの放送(北海道NHK)は、真偽のほどは分かりませんが、と殺場で数十%程度の和牛の内臓が、病変が理由で、食用にされずに廃棄されると言いました(調べましたが、今のところ確証が得られません)。
前出の「脱牛肉文明への挑戦」p.123(トウモロコシ肥育牛)によると、牛は、高カロリーの穀物を大量に摂取すると、「反芻胃の微生物の正常な作用を妨げ、一連の消化器系の病気を起こす。その最も一般的な病気は反芻胃-肝臓複合膿腫である。アメリカ合衆国内で解体される全てのウシの約8%は、肝臓に膿腫ができている」とされます。
実際、日本がアメリカからトウモロコシを輸入している金額は、1997年に飼料用が1981億4000万円(95.9%)です(ドル換算-東京インターバンク)(1.27修正)。
牛は、ふつう牧草を食べ、その繊維質を反すうしながら生活しますが、早く太って高く売れるような肉質になってもらうためには、たとえ病気になってでも穀類を食べてもらう必要があるようです。
畜産経営の収支
和牛は、ともかく消費者に支持され、高値で売買されるようです。
ただ、牛肉生産そのものは、大規模化への構造転換の途上にあり、経営が苦しいようです。
この関連の資料は、農林水産省がまとめた「肉用牛肥育経営(肉用種去勢若齢肥育) 肥育牛飼養頭数規模別」というデータが参考になると思います。
「損益/肥育牛1頭当り」(平成8〜9年)は、平均で経常利益が1923円のマイナスです。また、「平成9年度第4四半期(1〜3月)は、導入時の素牛価格の上昇から、肥育牛1頭当たりの平均推定所得が家族労働費を下回り」、「肉用牛肥育経営安定緊急対策事業(マル緊)」が発動され(第二段階)、牛一頭当たり2万円以内の助成金が支給されました。
狂牛病やo157などの感染症の問題が影響し、国際的に牛の需要が落ちこみ、価格が下がっているものと思われます。
ともかく、この年に経常利益がプラスになったのは、統計上の数値に過ぎませんが、飼養規模が100頭以上の経営ということであり、小規模農場の経営が難しくなっていると言えそうです。
この国会(1999.1)で予定する農業基本法の改正に向け、農林水産省は「農政改革大綱」(平成10年12月)をまとめ、畜産分野での課題を「国産品の持つ優位性を確保し、多様な消費者・食品産業のニーズに応じた高品質で安全で特色ある畜産物の生産を推進する」という方向を打ち出しました。
分からないことが多いので、抗菌剤耐性と食用動物の関連などを引き続き調べたいと思います。