食用動物の健康・その2

健康・スクラップブック

食用動物の健康・その2

畜牛の健康
 と殺されると牛は、枝肉や内臓や骨などに分割されます。そして、それらは、食用に適しているかどうか保健所で検査されるようです。

 枝肉は、幾つかの特定の項目によって判定され、その結果C−1からA−5までの等級に分類されます。
 判定項目は

 一方、内臓や骨や皮などは、一部は食用に、そして一部はMBM(meat and bone meal)といって、薬品や飼料や産業用の原料となります。
 それで、畜牛の内臓が病気に侵されて、食用にならないとか、飼料添加物やペットフードの材料として安い値段になるとか、そしてなによりも繁殖に影響するので、深刻な問題になっているようです。

 島根県家畜衛生研究所は、今年(1999)の新規研究課題の一つとして、
「肝臓・心臓・肺臓はと畜場で廃棄されることが多く、このことは多くの牛・豚が潜在的な内臓疾患を持っていることを示している。これらの臓器は生産性にも大きな関係を持っており、これらの臓器の潜在的疾病を検討することで、生産性向上と屠場における廃棄の減少による経済的効果を図る。」という研究をするとのことです。

畜牛の疾病率
 家畜は、思った以上に神経質でストレスに侵されやすく、その免疫力の弱さから病気に罹りやすいようです。
 岐阜市保健所食肉衛生検査所の職員の私的ページに、参考になるデータが掲載されていました。

  「平成7年度と畜検査業務の概要 」の「畜種別病類表 消化器系」が、ここで必要なデータだと思います。
 岐阜県、愛知県、三重県、長野県、静岡県、滋賀県、長崎県、鹿児島県、宮崎県、石川県、福井県でのと畜(屠畜)検査頭数は、14,031頭。その内訳は、乳用牛が8573(8623?)頭と肉用牛が5408頭。また、乳用牛というのは、食品成分表で、「乳用肥育雄牛」や「乳用雌牛」と表記され、ごく一般的に消費される牛肉です。

主な病類(消化器系)
罹っていた牛
率(%)検査頭数(14031)
に対する割合
肝膿瘍13189.4%
肝包膜炎4553.2%
胆管炎10037.1%
肝炎8416.0%
褪色肝4503.6%
肝出血斑 7165.1%
鋸屑肝7435.3%
胃炎11318.1%
小腸炎11238.0%
大腸炎11248.0%
総数
12739----%
資料:岐阜市保健所食肉衛生検査所

 どれだけの牛の内臓や脳などが廃棄されたかは、数値としてでてきませんでした。ただ、一説によると屠畜数に対して数十%はあるとも言われています。
 ところで、平成7年度の牛肉の国内屠畜数は、「畜産統計」によると147万8,178頭で、前年比96%と少しずつ減少傾向にあります。
 また、一戸当たりの平均飼養頭数は、「肉用牛の飼養動向」「家畜の飼養動向」(農林水産省)によると、平成6年(1994)に16.1頭、7年に17.5頭、8年に18.7頭、9年に20.0頭、10年に21.3頭と、少なくとも数値上は毎年飼養農家の規模が大きくなり、構造転換が進んでいるように見えます。
 ただし、日本国内の肉用牛飼養頭数は、消費量の拡大にも拘らず横ばいか、または減少しているので、単に「輸入勢力に押されて畜産経営者の廃業が進んでいる」という表現の方が正確かもしれません。

穀類の多投と疾病
 残念ながら、今のところ飼料の種類や給与方法別に、病気の発生率など比較されたデータが見つけられませんでした。
 ただ、飼料給与方法と、肉質の関係(高収益)の研究は進んでいるようです。インターネットでも、この方面のリポートが多く

   また、今のところ見い出すことができませんでしたが、飼料の種類や給与量別に疾病率が、世界的な抗菌剤の使用制限という流れの中で、研究されているものと思われます。
 引き続き、調べていきたいと思います。

 


用語解説:
肝膿瘍 肝表面や内部に大小の潰瘍が形成される疾病。濃厚飼料を多給した飼育牛に好発する。飼育中は特別な症状は認められない
粗飼料 飼料の栄養価による分類で、飼料中の水分あるいは粗線維含量が多く、単位重量当たり可消化養分総量の少ないもの
濃厚飼料 穀類や油粕、ぬか類、製造かす類(精糖業とか、発酵工業、果汁製造、食品工業からの副産物)、動物質飼料(水産加工、乳製造、家畜処理)などを混ぜた、栄養価の高い飼料
参考資料:
獣医学大辞典 チクサン出版
新畜産ハンドブック 講談社
平成10年度通産白書
欄外:
とうもろこしの輸入先(1997年)
品目
国・地域
金額
構成比(%)
とうもろこし
合計2958億5500万円100.0%
アメリカ2802億6700万円94.7%
アルゼンチン62億3300万円2.1%
南アフリカ共和国59億1400万円2.0%
飼料用とうもろこし
合計2066億8500万円100.0%
アメリカ1981億4000万円95.9%
アルゼンチン58億8600万円2.8%
中国23億1200万円1.1%
資料:大蔵省「貿易統計」 平成10年度通産白書より
関連URL:
牛・豚の肝臓・心臓・肺臓における潜在的疾病の検討 島根県家畜衛生研究所
平成7年度と畜検査実施状況
ビタミンAの制限が黒毛和種去勢牛の成長ホルモン分泌反応と産肉性に及ぼす影響 中国農業試験場 畜産部
牛肉の生産動向 種類別と畜頭数 農林水産省
肉用牛の飼養動向 農林水産省
Rome Declaration on World Food Security FAO

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