血糖値を自分で測定
  血糖値 自分で測って予防や治療

 川崎・松葉医院 生活療法に生かす

   血糖値を、簡便な測定器で血圧のように自分で測る動きが広まってきた。糖尿病の食事療法や運動療法は、主治医に言われてもなかなか守れないもの。しかし「血糖自己測定」で一日の血糖の変動が分かってくると、自分で上手に制御できるようになるそうだ。生活習慣病治療の極意は、「自己管理」にあり・・。

 「簡易血糖自己測定器」は名刺大の大きさ。ペン型のワンタッチ針で、指先などから極微量の血液を採血。その血液を試験紙に付けて測定器に入れると、十五秒から二十秒前後で血糖値をデジタル表示してくれる。
 「血糖自己測定」は、もともとインスリンを自分で注射する糖尿病の患者が行ってきたものだが、川崎市幸区、松葉医院の松葉育郎院長(日本糖尿病学会評議員)は、食事と運動療法を身につける手段に生して成果を上げている。
 「糖尿病治療は、血糖値のコントロールが何より大事。血糖値がはね上がったら、モグラたたきの要領で下げるのだが、月一〜二回の通院の採血で得た〃点〃のデータでは、制御はなかなか難しいのです」と松葉院長。希望する患者には、測定機器を無料で貸し出してきた。現在までの貸与者は七十数人にのぽり、うち五十数人までがインスリンを使わない患者。
 その一人、森尻数雄さん(六五)らは三十代末に糖尿病になり、経口の血糖降下剤で治療してきたが、会社の健康診断で眼底出血が見つかり、専門医の松葉院長のもとヘ。五年前から自己測定を始めた。最初の一年間は、一日に三度の食事の前後や、早歩きの運動療法の後など、こまめに測定を続けた。「食べ過ぎが一番よくない。てんぷらを食べると、血糖値は一挙に四○も上がります。何を食ペ、どの程度のストレスで、どのくらい上がるか、だんだん読めてきます」と森尻さん。
 松葉院長によると、こまめな測定を三カ月続けると血糖値の目安がつかめて、測定回数を減らせる。森尻さんは現在、十日に一度の通院前日に測定するだけだが、空腹時血糖値は八〇〜一一〇の状態を松葉院長が指摘する糖尿病、随時血○糖値も二〇〇以下に制御できるようになった。自己測定で、自分にあった経口薬も見つかった。

 松葉医院の患者は、日常のチェックは血糖自己測定だが、月に一度、医院で「ヘモグロビン(Hb)A1c」を検査、一カ月の血糖値の状態を総括する。
 松葉院長が指摘する糖尿病自己管理の〃三種の神器〃が

  1. 血糖自己測定器
  2. 万歩計(消費カロリー付き)
  3. 宅配の糖尿病食−−だ。
 インスリンを使う寸前だった患者の田中みな子さん(六五)は、この〃神器〃を駆使して、随時血糖値を三〇〇から二〇〇に、HbA1cを九・六五%から六%台に下げることに成功した。
 「先生や栄養士さんに一日一六〇〇カロリーと言われましたが、カロリー表をみても難しくって、面倒で、とても長続きしませんでした。しかし、食材の宅配を三カ月続けると、量の感覚が体で分かってくる。そこで宅配をやめて自分で料理し、併せて毎日一時間半の散歩をし、自己測定で結果を確かめていったのです」と振り返る。
 血糖自己測定器は、一台一万五千円前後。入手や使用には医師の指導が要る。試験紙は一枚百二十〜四十円で、インスリン療法者に限り健康保険が利くが、それ以外の人には実費がかかる。
              (姫野忠)3/19/1997東京新聞朝刊

糖尿病判定の基準
空腹時血糖
(mg/dl)
随時血糖
(mg/dl)
HbA1c
異常なし110未満140未満5.6未満
要指導110〜140未満140〜200未満5.6〜6.0未満
要医療140以上200以上6.0以上

池田義雄・東京慈恵会医大教授の話し 血糖自己測定から健康保険や医師の許可のしばりを外せば、みんながもっと気楽に血糖値を測れるようになる。これが軽症の糖尿病の予防と治療につながってゆき、糖尿病患者はl00万人単位で滅るだろう。試験紙も、コンピニやスーパーで入手可能になれば広く使われ、競争でさらに安くなるでしょう。

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