レポートの成り立ち
アメリカでは、80年代終わりにダイオキシンの環境への影響と、人体への影響、ことに発癌性や催奇形性が盛んに議論されました。1991年5月にEPA(United States Environmental Protection Agency)は、健康リスクを受けないとされるダイオキシンの値について、集中的に研究できるような情報提供を始めました。
ダイオキシンの健康リスクの測定法は、それぞれの研究者により開きがあり、「暴露と影響(健康被害)」の基準も統計的なリニアの解が求められていません。したがって、報告書は、むしろ研究者の調査(測定技術の向上)と行政の決断という歴史的な文脈の中で読み取るよう勧められています。
どの程度ダイオキシンに接触(暴露)しているのでしょう?
暴露は、酪農製品や魚介類などの食物摂取経由が約97%とされます。焼却炉などから出たダイオキシンが大気中に浮遊し、雨により土壌に降り注ぎ、それらが穀物や野菜などに移る。そして、これを食べた牛や豚などの家畜の脂肪に蓄積される。
また、土壌中のダイオキシンが川へ流れ込み、海のプランクトンに移り、それを餌にする小魚の脂肪へ、そして大きな魚の脂肪へと蓄積されるということです。
これを地球の食物連鎖(the terrestrial food chain)といい、その最も高いところにいる人間へダイオキシンが集中していきます。
そこで、現在土壌中のダイオキシンの濃度は?
乳製品や魚介類の蓄積度が、人の健康に影響を与える高さにあるのか?。
そして、それは人の努力により改善されるものか?
が問題でしょう。
アメリカのレポートは次のように続いています。
ダイオキシンの毒性は?
ダイオキシンの毒性は、ベトナム戦争でダイオキシンを含む枯葉剤を使い、アメリカの退役軍人にがんに侵され死亡する人が多いこと、そしてベトナムで多くの奇形児が生まれたことが、人々に強烈なインパクトをあたえました。
ラットの研究では、一日に10000〜20000pgを与えることで、腫瘍発生率が10〜20%増えることが報告されています。
ただ、ダイオキシンが人間のがんの発症率を増やすという証拠ははっきりと見い出されてるわけではありません。それらの知識は、過去の疫学のデータや動物実験の研究を通して推論されたものに過ぎず、それぞれの研究者により統計的数値に開きがあるのも事実です。
しかし、この不確実さは、ダイオキシンの暴露により疾病が増えることにはならないという言葉の証拠には少しもなりません。むしろ、欧米における調査とそのデータやダイオキシン検出と測定技術の向上は、「(発がんのリスクを増やすか、ダイオキシンを減らすか)人に崖っ縁からの決断」を強く求め続けてきました。
残念ながら日本の環境疔や厚生省は、90年代始めにダイオキシンの危険性を知りながら、他省への思いやりから?調査さえ十分にせず、決断を先送りしてしまったと言われています。それで、アメリカやイギリスに比べておよそ5〜7年ほど対策が遅延しています。
来年度の予算で、ダイオキシン調査の予算を組むことが予定されていると、今年5月に報道されました。その報道記事はここです。