ゴミ焼却と塩ビの分別収集
健康・スクラップブック
ゴミ焼却と塩ビの分別収集
11月28日(98)の新聞に不思議な記事が掲載されました。
それは、「塩ビの分別収集は、ダイオキシン削減の役にたたない」と厚生省が発表したというものです。
つまり、焼却管理をしっかりやり、排ガス処理をしさえすれば、ゴミと塩ビを混ぜて燃やしても問題ないというものです。
ただ、その条件の詳細や、その条件ににかなう焼却施設が日本にいくつあるのかや、その条件がもう達成されているのか、またはいつごろ達成されるのかなどは不明です。また、条件そのものが、欧米で目標とされているような、1ナノグラム/m3を前提に設定されたものなのか、それとも日本の甘い基準値80ナノグラム/m3のもとで「何ら変わりがない」と言っているのかも不明です。
1(98.12)日現在厚生省のホームページに関連のデータは掲載されていませんでした。
ダイオキシン「塩ビ焼却、影響ない」
厚生省実験結果を公表
市民団体は猛反発
厚生省は27日、一般ごみに塩化ビニール製品を混ぜてダイオキシンの発生状況を調べた実験結果を発表し「焼却施設で適切なダイオキシン対策を取れば塩ビ製品を燃やしても影響はない」との見解を明らかにした。環境市民団体などは「実験結果は疑問だ」と猛反発している。
実験は昨年度、廃棄物研究財団と国立公衆衛生院が実施。大型焼却施設の全連続炉で、通常のごみに塩化ビニールを含むプラスチックごみを加えて比較した実験で排ガスのダイオキシン濃度に差が出なかった。小規模焼却炉でも同様な結果が出た。この結果を受け、厚生省は「適切な焼却管理や排ガス処理が行われれば、ダイオキシン濃度への塩化ビニールの影響はあるとしても少ない」と結論、「塩ビ製品の分別収集はダイオキシン削減に直接つながらない」としている。
これに対し「止めよう!ダイオキシン汚染関東ネットワーク」の藤原寿數事務局長は「埼玉県の久喜宮代クリーンセンターなど、塩ビを完全分別した焼却場でダイオキシン濃度が大きく減ったデータもある。ドイツなど欧州では塩ビを焼却しない政策をとっている」と反発を強めている。
東京新聞日刊11.28.1998
ダイオキシン削減の条件
その条件というのは、1997年1月に厚生省が出したガイドラインによると、ダイオキシンは300度前後の温度でゴミを燃やすと最も多く発生するので、「850度以上の高温で、一日中燃やし続けられる大型(日量100トン以上)の焼却炉であれば、ダイオキシン発生を抑えることができる」ということです。それで、上の適切な焼却管理と言う意味は温度の事と思われ、炉の立ち上げや停止をして温度が下がらない全連型の焼却炉、または一部の准連続炉や機械化バッチ炉のある状態における燃焼という条件に限られると思われます。
また、適切な排ガス処理というのは、バグフィルターの事と思われますが、これも建設には大きなお金がかかり、小さな自治体ではたやすく設置できないと言われています。
そして、焼却灰は、最もダイオキシン濃度が高く危険な物質ですが、その対策として溶融固化処理施設が必要らしいです。しかし、その設置状況は平成10年3月27日の「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進について」の文書によると、全国で1854の焼却施設のうち達成されたのは20程度です。
国立公衆衛生院の廃棄物工学部長の田中勝氏が、塩ビ業界(三協化学工業)のホームページで、「焼却炉のダイオキシンが問題になっていますが、都市ごみや産廃の焼却でダイオキシンによる健康被害が発生したという事例は報告されておらず、水俣病のように疫学的にその危険性を証明したデータも存在していません。」と、ダイオキシン問題へ過剰に反応するべきでないと言っています。
しかし、国立公衆衛生院の「塩ビとダイオキシン」の実験データは、なぜかインターネットで公開されていないので、「塩ビはダイオキシン発生に関与していない」と言われても、現在の焼却炉において条件が本当に成立するのか、信じにくい状況ではないでしょうか。
ダイオキシン類の健康リスク評価
「食品衛生調査会常任委員会」の議事録によると、「WHOのヨーロッパ事務局とITCS(国際化学物質安全性計画)の両者が開催した、ダイオキシン類の健康リスク評価等に関する会議において、従来、TDI(耐容1日摂取量)10pg/kg body-weightについて、新たに1−4pg/kg body-weightが会議の取りまとめとして出てきました。我が国としても、これを踏まえた今後の対応を検討することが求められているところでして、その基盤となる部会の設置についてご検討いただきたいと考えております。」と厚生省の生活衛生局長が発言しており、日本でもダイオキシンのより厳しい規制が求められています。
この議論は、WHOのホームページで確認することができます。
その文書によると、最近、新しい病理学が(研究により)明らかにしたのは、ダイオキシンが特に神経学的な発達システム(neurological development)や内分泌システム(endocrine system)への関連が危惧されるので、WHOはジュネーブにおいて一日耐容量の再評価(re-evaluate the tolerable daily dose of dioxins)の話し合いが持たれました。
そして、広汎な議論を重ねた結果、専門家は新たに1−4pg/kg body-weightの一日耐容量(TDI)の決定に同意しました。
エコ・レーティング
ところで、世界の市場の趨勢は、「エコロジー(生態環境)に配慮した製品が消費者から支持され、そうでないものはフェードアウトする」のであり、企業に厳しい方向転換を迫っています。
欧米では、「エコ・レーティング(Eco Rating)」という組織が活動を始め、製品が「地球環境にやさしい」か否かにより格付けされ、ラベルにより消費者に知らされます。
彼らは、学際的な研究者集団であり、環境法や環境経済学をしっかり学んだ専門家により組織されています。それで、製品についてよりニュートラルで、公正な情報が消費者に与えられています。
ある製品について、安全であるか安全でないかの議論を続けるためにも、また環境に対してより慎重であるためにも、より多くの情報が必要なのかもしれません。
関連URL:
一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進について 厚生労働省
塩ビとダイオキシン 三協化学工業
食品衛生調査会常任委員会 厚生労働省
WHO EXPERTS RE-EVALUATE HEALTH RISKS FROM DIOXINS WHO
Eco Rating International
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