環境ホルモン汚染
健康・スクラップブック
環境ホルモンについて調べました
11.21.1997金曜日、午後9時半にNHKスペシャルで、「生殖異変・しのびよる環境ホルモン汚染」という番組が放送されました。
これによると、ある特定の化学物質が野生動物や人間の生殖器官に影響を与え、繁殖活動を妨げているかもしれないというのです。例えば、雌を雄化したり、雄の生殖能力を減退させたりすることが考えられています。大変ショッキングなもので、すぐには信じられないものでした。
endocrine disruptor(内分泌の崩壊?)
ある化学物質が、まるでホルモンのようにふるまい、人や動物の内分泌システムを撹乱し、本来あるべきホルモンをブロックしたり、嘘のメッセージを出したりします。
ことに胎児期に環境ホルモンに暴露されると、形態学的影響はアブノーマルに小さなペニスをもたらしたり、雌の数を極端に多くしたりします。
こうしたメカニズムについて参考になるのはアメリカ環境健康科学研究所(NIEHS)のEHP 104(12) というリポートです。
この記事によると、最始に環境化学物質(environmental chemical)で女性ホルモンの働きに影響を与えるとがわかったのは、農薬のDDTでした。この薬品はアメリカでは1972年に禁止されましたが、例えばアリゲーター(ワニ)のような捕食動物では代謝されずに蓄積されたものと思われます。その結果、ある場所のアリゲーターに明らかな生殖異変が見つかりました。雄のアリゲーターのペニスが極端に小さくなり、繁殖能力が損なわれつつあるというのです。
このアメリカン・アリゲーターの研究をされているのが、フロリダ大学のルイス・ジレット(L.Guillette,Jr)教授です。フロリダのApopka湖に生息するアリゲーターの生態や、卵を調べていて、インターネットでもホームページを開いています。
環境ホルモン
環境ホルモンが地球上にいくつ存在するものか、実ははわかっていません。また、それが人間に影響を及ぼしているかどうかもまだはっきりしていませせん。1996年の時点でアメリカ環境健康科学研究所で10個について確認または予測されたに過ぎず、研究方法を探っているということです。
しかし、アメリカ環境保護局では、「少しでも人間の健康を脅かす可能性があるなら、ないと言い切れるまでチェックし続けるべきだ」と言っています。
アメリカ環境健康科学研究所では、beta-estradiol,diethystilbestrol,tamoxifen,
HPTE,endosulfan,nonylphenol,DDT,kepone,4-hydroxytamoxifen,methoxychlorの10個(EHP104_shelby 資料参照)。また、アメリカ環境保護局(EPA)では次の5個の化学物質をリストアップしています。endosulfan,nonylphenol,vinclozolin,genistein,methoxychlorです。
- 一つは農薬が疑われます
- 一つはビスフェノール A(bisphenol A)というプラスチックの原料が疑われます
- 一つは船底に塗られる有機スズ化合物が疑われます
- 一つは界面活性剤のノニルフェノール(nonylphenol)が疑われます
- 一つはプラスチックの可塑剤 phthalatesが疑われます(一部のおもちゃや歯科治療用材)
アメリカでは、ゴア副大統領が「Our Stolen Future」(Theo Colborn, Dianne Dumanoski, John Peterson Myers共著) という環境ホルモン汚染を主題とした著作に共鳴され(序文を書かれたということです)、いちはやく対策を立てるよう指示しました。それで、1996年に法案が成立し、1999年8月には環境ホルモンの影響を正確に捉える検出方法を確立し、実際に化学物質をチェックしていこうということです。
しかし、地球上には8万を越える化学物質が存在し、その上、年に1000種類以上の新しい人工の物質が作られています。これらを一つ一つ調べるのは、気の遠くなる作業となるでしょう。
また、この問題で研究者が、最も危機的と考えているのは、環境ホルモンが古典的な公害学的手法、「暴露-影響」というモデルでは分析も検討もできないという点です。それは
- 特定の化学物質において超微量でも起こりうること
- 胎児の成長過程で暴露されるなどのタイミングが問題
- 世代を越えて影響が及ぶ
ということがわかってきたからです。そして、これは検出法から分析法にいたるまで始めから確立する必要があることを意味します。さらに、国家的な対策としても、すぐに生命が危うわけではないだけに、とかく優先順位が低くなりがちで、気が付いたときには「もう遅い」という事態に陥るかもしれないことです。
関連URL:
ENDOCRINE-DISRUPTING CHEMICALS:アメリカ環境保護局 US Environmental Protection Agency(EPA)
EHP 104(12) Table of Contents アメリカ環境健康科学研究所(NIEHS)
Our Stolen Future: the official web page 環境ホルモンについての著作
Hormone Disrupting Chemicals Greenpeace UK(イギリス グリーンピース)
ICSC CARD 国立環境研究所 化学物質安全カード
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