アレルギーにも有効なイワシや海苔のEPA


 私たちの体を構成している細胞の正常な働きは,脂肪の構成成分である必須脂肪酸のバランスの上に成り立っています。
 このなかでも,成人病,アレルギー疾患に関連して注目されている脂肪酸にアラキドン酸があります。
 アラキドン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)から,私たちの体のなかで,プロスタグランジンやトロンボキサン,ロイトコリエンなどが作られます。トロンボキサンは血液中の血小板で作られ,血小板を凝集したり,血管壁を収縮させたりします。すると血液が通りにくくなったり,血栓ができ,心筋梗塞や脳梗塞など,厄介な成人病を引き起こします。ところが血管壁の内側にある内皮細胞では,トロンボキサン(TBX)の働きを抑えるプロスタグランジンI(PGI)が作られます。これらのバランスがとれていると,健康な状態が維持できますが,PGIの働きが低下すると,血栓ができやすくなります。悪玉であるTBXはEPAに比べアラキドン酸からつくられやすく,たとえEPAから作られたとしても,悪玉作用がきわめて少ないことが明らかにされています。一方,善玉であるPGIはアラキドン酸からもEPAからも同じように作られるのです。
 それでは,アレルギーに関係するロイトコリエンについてはどうでしょうか。
 ロイトコリエン4(C4,D4,B4など)やプロスタグランジンD2は,喘息発作を引き起こす重要な伝達物質であることは明らかにされていますが,最近ではアトピー性皮膚炎の病因にも,ロイトコリエンB4は重要な役割をはたしていることが注目されています。このような悪玉ロイトコリエンは,やはりアラキドン酸から産出されます。もちろんEPAからもロイトコリエン5が産出されますが,このような悪玉作用はほとんど持っていないのです。
 アラキドン酸は一般に獣肉に多く含まれます。EPAは魚のなかでもイワシに最も多く,そのほかアジ,サンマ,サバなどいわゆる背の青い魚にも比較的多く含まれます。また海草類にも含まれており,特に海苔に多く含まれています。
 中略
 植物に含まれるこのような不飽和脂肪酸は,確かにコレステロールを下げ,動脈硬化の予防効果はありますが,アラキドン酸由来のTBXによる血栓形成のほうが,より成人病の発病に重要な役割をはたしている可能性が指摘されています。
 生体内で作られたり,摂取されたアラキドン酸やEPAは細胞膜中でリン脂質として存在しますが,これがアレルギー反応などで刺激を受けると,ホスホリパーゼという酵素の働きで,再びこれらの脂肪酸を離してロイトコリエンやプロスタグランジンになるわけですが,この過程に関係する酵素であるホスホリパーゼ,リポキシゲナーゼ,シクロオキシゲナーゼはEPAの経路にも,アラキドン酸の経路にも共通の酵素なので,EPAを多く食べると,競り合いをすることにより,アラキドン酸の経路にブレーキがかかるのです。
 すなわち,たとえアレルギーの症状が出たとしても,その症状は軽くてすむことになります。
(出典不承)
    
プロスタグランジン(PG)とは何か。
 日本の権威,東京医科歯科大学の室田誠逸教授に,東京新聞記者が尋ねた。
 体のいたるところの細胞で,必要なときにごく微量作られ,役割を果たすと破壊される”短命”な局所ホルモンだが,微量でも強い作用がある。
 1930年人工受精を行っていた米国の産婦人科医が,精液の中に子宮を収縮させる物質を突き止めたのが始まり。82年度にはPGの研究者三人がノーベル賞を受賞。
 薬品の三分の二は何らかのPG作用に関連している。
 人間の体では細胞が不飽和脂肪酸を原料にPGを作り出すのだが,2,30種類知られている。            と分けている。
 種類が違えば逆の作用を持つものもあって,体内では互いにバランスがとられている。
 魚のEPAを摂取すると血栓ができにくいのは「タイプ3」の中に血液をサラサラにする種類のPGがあるからといわれている。また,ジホモγリノレン酸の「タイプ1」に属するPGから,抗血栓剤や抗動脈硬化剤や抗潰瘍剤が開発されている。(1994年1月24日東京新聞朝刊)

魚の切り身100g中に含まれるEPAの量(mg)
たべもの名前EPADHA脂肪酸総量(g)特徴
ホンマグロ1288287720.12成人病の予防
ブリ898178512.48ビタミンDが豊富で骨の老化を防ぐ
サバ121417818.58ビタミン類が豊富で,肌を美しくする
サンマ844139813.19ビタミンEが豊富で若返り効果
ウナギ742133219.03ビタミンAが豊富で,体力増進
マイワシ1381113610.62EPAが多く,コレステロール値を下げる
サケ4928206.31ビタミンAが豊富
マアジ4087485.16ビタミンAが豊富
アナゴ4726618.58DHAの量は多いほう
カツオ783101.25タウリンが多く含まれ,貧血に効果的
マダイ1572972.70肝臓や腎臓の働きを良くする
コイ1592884.97整腸や強壮作用
カレイ2102021.42コラーゲンが多く,皮膚を健康にする
ヒラメ1081760.84カレイと同様コラーゲンが多く含まれる
アユ2011364.11身だけでなく内臓にも多くの栄養素が含まれる
タラ37720.22イカと同様タウリンを多く含み,疲労回復などによい
イカ561520.39タウリンを多く含み,血液中のコレステロールの量を抑える働き
参考資料「魚を食べると頭がよくなる」鈴木平光著,KKベストセラーズ


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