遺伝子組換え食品ってなに?
健康・スクラップブック
生物の遺伝子解析・応用
5省庁連携で巻き返し
難病治療など研究
生物の遺伝子情報を解析・応用する研究に科学技術、通産、農水、厚生、文部の五省庁の研究機関が連携して取り組むことになった。科学技術疔傘下の理化学研究所(埼玉県和光市)をセンターにして関連機関が分担、人間や動植物の遺伝子の働きの解明や難病治療への応用などを目指した研究に取り組む。これまで国内研究機関の連携が不十分なこともあって、遺伝子解析では欧米に大きく遅れをとってきた。新薬開発など産業競争力にもかかわるため政府主導で巻き返しを狙う。
科学技術疔は理研に「遺伝子フロンティア開拓研究センター」(仮称)を来年後半にも設置する計画。国内外から研究者を集めて、遺伝子や遺伝子が作るたんぱく質の機能解明に取り組む。研究者二百人規模の体制を目指す。
通産省は遺伝子の本体であるデオキシリボ核酸(DNA)の塩基配列(遺伝子暗号)の解析に役立つソフトウエアを開発。厚生、文部省は病気の解明など難病治療への応用を目指した研究を推進する。
また、農水省はこれまでも取り組んできたイネの遺伝子解析を一歩進める。すでに染色体のどこに遺伝子があるかを大まかに示す「遺伝子地図」を完成させたが、この地図をもとに優れた品種作りに役立つような遺伝子を見付け出す研究に取りかかる。
研究の重複を避けるため、国の研究開発の方向性を決める科学技術会議(議長・橋本竜太郎首相)傘下に専門家で組織する委員会を設置したり、省庁間の調整組織を作って、効率的に取り組む方向だ。
一つの生物を作り上げるのに必要な遺伝子全体を「ゲノム」と呼ぶ。科学技術会議は七月にこの「ゲノム」を国が推進すべき研究分野として決めた。五省庁連携の「ゲノム研究プロジェクト」は同会議の決定を受けたもの。
ゲノム解析は米国や英国では政府が解析センターを設けて研究を推進、解析した遺伝子情報を企業が特許にするなど商業利用も進んでいる。国内でも大学を中心に取り組んできたが、解析した情報量など総体としては大きな差をつけられたまま。「医薬品開発などに有用な人間の遺伝子などは大半が欧米勢に解読されてしまう」という危機感が背景にある。
解説:90年代始めから世界中で本格化したゲノム研究は、遺伝暗号の解読という側面ではすでに終盤に近く、政府のプロジェクトを「遅きに失した」とする見方が専門家の間にはある。
約三十億の塩基配列からなる人間の遺伝子情報のうち、解読済みはまだ約五千万(今年五月時点)に過ぎないが、研究設備の充実から速度は急テンポで向上、早ければ2000年には全部を解析し終わるとみられる。研究はすでに塩基配列を読む段階から、その意味(機能)を解明する時代を迎えつつある。
また今年三月に東京大学医科学研究所に「ヒトゲノム解析センター」が完成するなど国内でも研究は進んでいる。省庁主導のプロジェクトが二重投資になったり、先行する研究者の動きを拘束してしまう恐れもある。省庁の縦割りを排した効率的な体制が必要だ。
日経新聞 8.16.1997
遺伝子組換え食品ってなに?
ここ十数年で、研究が急速に進んだ育種技術であり、次のような課題が取り組まれているということです。
- 栄養成分や機能性成分に富む農作物
- 日持ちの良い農作物
- アレルギー原因物質を除いた食品
- 農業生産力の飛躍的向上
遺伝子組換え食品は、一般にはあまり馴染みがない言葉でしたが、もうすでに私たちの食卓に加工品として姿を現わしています。例えば大豆油やフライドポテト、そして間接的ながら遺伝子組換えトウモロコシを飼料として育った食肉などです。
昨年8月(96.8)厚生省の食品衛生調査会は4品目7品種の安全性を認め、また今年5月にも新たに4品目8品種の安全性を認める答申を出しました。これにより、害虫に強いトウモロコシ(飼料用)やジャガイモ(加工品用)、除草剤に強いナタネ(油用)やダイズ(加工品用)などが輸入されています。
遺伝子組み換えには3つのステップがあるということです。
- 有用遺伝子の単離
- 遺伝子の導入と植物の育成
- 遺伝子組み換え植物の評価
単離
長年にわたって育種目的であった多収性、耐冷性、耐病性のような形質を支配する遺伝子を探し、それを他から切り離す。上の新聞記事のゲノム解析というのは、有用遺伝子の単離に基礎となる情報とそのメカニズムの解析ということらしい。
すでに、次のような育種上有用な形質をもった遺伝子が単離されています。- ウイルス病への抵抗性(イネ、トマトなど)
- 呼吸を抑制して日持ちをよくする(トマト<これは商品名フレバー・セーバーとしてアメリカで商品化されています>)
- 低アレルゲン米の育成(イネ)
- 特定の昆虫への殺虫性(タバコ、イネ、シバなど)
- 除草剤抵抗性(ダイズなど)
遺伝子の導入と育成
- 直接法
- 間接法
このうち最も適用される範囲が広いのは、アグロバクテリウム法です。
遺伝子組換え植物の評価
評価は、遺伝子組換え植物の形質の評価と安全性の評価の二つに分けられます。
私たちが特に興味があるのは、食品の安全性の評価ではないかと思います。
組換え植物の安全性は、科学技術疔の「組み換えDNA実験指針」に基づく二種類の基礎実験と、農林水産省の「農林水産分野等における組換え体利用のための指針」という基準にもとづき、環境への影響に関する二種類の実験で、評価・確認されています。
また、上の四段階で問題がなく安全とみなされると、厚生省が「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全評価指針」に基づき、食品としての安全性を評価します。
農林水産省と厚生省には遺伝子組み換え食品の安全性について、それぞれのホームページにQ&Aというかたちで解説が掲載されています。
バイオテクノロジーは、食糧問題の解決や医薬への応用など、人にとって有用な技術であることは間違いないらしいのですが、食べ物のなかにバクテリアの遺伝子を組み込むなど分かりにくい部分も多いので、これから少しずつ調べていきたいと思います。
資料:毎日新聞 5.27.1997
朝日新聞夕刊 5.26.1997
河北新報 7.9.1997
バイオテクノロジーと食品 粟飯原景昭先生翻訳監修 建帛社
食物バイテクの基礎知識 大澤勝次先生 農文協
バイオ食品の安全性(FAO/WHOレポート) 粟飯原景昭先生翻訳監修 建帛社
関連URL:遺伝子組換え食品の安全性評価に関するQ&A 先端産業技術研究所 農林水産省
遺伝子組換え食品の安全性評価に関するQ&A 厚生労働省
FDA/CFSAN Biotechnology アメリカ食品医薬品局
Public Perceptions of Genetic Engineering: Australia, 1994 オーストラリア政府機関
科学技術疔
ゲノムネット WWW サーバー
DNA Info. & Stock Center, Japan
ホームへ(Home)|ユーザーページへ(Users Page)|戻る(scrap book)