HACCPと食品の安全性

健康・スクラップブック

異物混入事件
 ここ数日(98.10月)、「毒物混入事件」や「桃天然水にカビが混入」など物騒な話題が出て、面喰(く)らいます。
 きょうも「日本たばこ産業(JT)が販売している清涼飲料水「桃の天然水」にカビが混入していた問題で、JTが製品の一部にカビの発生を確認しながら、その後も目視によるチェックをしただけで在庫を出荷し、うち一本でカビが発生したことが五日分かった。」(10.6.1998 東京新聞日刊)と報道され、生産システムにある不具合が発生した時、そのプログラムを速やかに修復する方法がないことや、消費者へ情報を知らせる手順が欠けていることが明らかになりました。

 びん詰めや缶詰は、高温殺菌や洗浄、そして包装技術や無菌充填など高度化したシステムの中で生産されているものだけに、「その中に毒物やカビが入っているなんて!?」とショックを受けた人も多いと思います。
 というのも、食品の安全性の議論が高まる中、びん詰め食品や缶詰食品は一つの指標的な存在と考えられています。また、技術が高度化することは、品質の話は別であるとしても、衛生的には安全な食品が供給され、同時に情報が消費者へ迅速にフィードバックされることを意味すると信じられてきました。

評価法の再点検
 食品衛生研究の「食品製造技術と安全性」というリポートで桐村二郎先生は、「食システムの安全性に関わる自然科学は、食品科学の一部というよりはむしろ毒性学・病理学といわれる分野が基礎にあることをはっきり認識する」。その上で、「生物学的・物理的・化学的危害(hazard)の概念とそれらの各危害の防止策」を考える必要があると指摘しています。

 食品の品質が劣化する原因

 腸管出血性大腸菌O157(E.coli O157)やサルモネラ菌(Salmonella)などの感染は、日本だけでなく世界共通の問題となっているようです。
 ことに最近、水産食品や野菜などの生鮮品が輸入されるので、他国の食品の安全性や海外の感染症などの情報に無関心ではいられなくなりました。
 それで、OECD(世界経済開発機構)やCODEX(FAO/WHO合同食品規格委員会)やWTO(世界貿易機構)は、加盟国の貿易相手国との食品の安全性の同等性を確保するため、基準(criteria)作りに取り組んでる模様です。

HACCP(Hazard Analysis-Critical Control Point System)
 食品の安全性管理システムとして、HACCPが国際的に採用されつつあります。OECDに加盟するほとんど多くの国は、すでにこのシステムを取り入れているか、またはその導入を検討しています。
 日本も、今年6月17日の厚生省生活衛生局乳肉衛生課が、「総合衛生管理製造過程(HACCP)による食品の製造または加工の承認について」で、今年始め(98.1.19)の承認(36社86施設、177品目)に続き、乳製品製造会社など58社、100施設、212件についてHACCPの承認を発表しました。また、お隣の韓国でも1995年に食品衛生法を改定し、HACCPの導入を急いでいます。

 HACCPの情報は、東京都衛生研究所の「HACCPについて」(PDF書類)が分かりやすいと思います。
 この記事によると、HACCPとは、原材料の生産から消費者が消費するまで、「食品の安全性について危害を予測し、その危害を管理することができる工程を重要管理点と特定し、重点的に管理することにより、工程全般を通じて食中毒などによる危害の発生を予防し、製品の安全確保を図る」と書かれています。

 ここ20〜30年の間に、食品製造の分野は急激な進歩・革新を遂げました。それとともに、食品の供給システムや、消費体系も大きく変わっています。
 食品の安全性にかかる議論は、世界的な規模で話し合われており、それぞれの国の独自性を尊重しながら、食品の安全性について共通の言葉を持とうとしているかに見えます。例えばそれは、CODEX委員会の創案にある、FSO(Food Safety Objective)(食品の安全性のための目標)が、衛生管理の手段のための理由および目的と定義され、貿易当事国が検査システムの同等性の指標として認められています。

 HACCP(危害度分析に基づく重要管理事項)は、食品の製造・加工工程ばかりでなく、病院などの給食や農業生産にも求められていくようです。


参考資料:
食品衛生研究(1998 No.5,6,7,8)食品衛生協会

関連URL:
「桃の天然水500mLペットボトル」一部ロットの回収について 厚生労働省
Welcome to the WTO Web Site (世界貿易機構)
院外調理における衛生管理ガイドラインについて 厚生労働省

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