新たな健康の主題

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新たな健康の主題

 急激な社会状況の変化により、健康を取りまく環境は、「健康増進」とか「健康維持」といった穏健な対策から、「危害から身を守る」(Health Protection)対策を強く要請しているかのように見えます。
 カナダの政府機関 Health Canadaは、21世紀に向けて健康を主題とする取り組み「Health Protection for the 21st Century」(july.1998)の中で、自らシステムレベルで変わるべきことを宣言しています。

 その中で語られているのは、私たちが抱える新しいリスク

 また、科学技術は、次々と新しい発見をして、医学的にもまた倫理的にも難しい問題を提起しています。それは、新しいタイプの臓器移植(New types of organ transplants)であり、遺伝子操作の技術(reproductive technologies)であり、目覚ましい新薬の開発競争です。
 私たちは、これらの技術の恩恵を受けることでしょう。また、同時にこれらの技術の進歩についていけずに当惑させられたり、副作用など健康面で悪い影響を受けることでしょう。

 このリポートによると、Health Protectionを実現するため、5つの基本的な道具があるそうです。それは

  1. 科学(Science)
  2. サーベイランス(Surveillance)
  3. リスク管理(Risk management)
  4. 立法(Legislation)
  5. プログラム開発(対策の立案)(Program development) です。
 そして、未来の「危害管理」の為に次のような問題設定をしています。主なものを抜き書きしてみます。  カナダの政府機関は、こうした議論を通じて、この2、3年の間(21世紀を迎えるまでに)に「危害管理」に関するシステムをすっかり変革したいと考えているようです。
 ことに情報化がすすむ中で、健康リスクを分析したり管理するために必要な専門知識の有り様が、大きく変わってきました。つまり、世界とのコミュニケーションが簡単にでき、新しい情報収集の手段を持つことによって、情報はさまざまな組織や個人が共同で使い、互いに比較したり評価しあって常に動いています。こうした情報を的確に捕まえ、そしてデータを選択したり加工することは、リスク管理に必要不可欠になったとHealth Canadaは考えているようです。

 また、政府機関が持つ研究所やテストシステムだけでは、健康に関する広大な領域や新しい流れをカバーできないので、非政府組織や大学の研究室などの研究成果が、健康にまつわる「危害管理」にとって大切になるということです。実際、過去30年間を振り返ってみると、企業の研究機関や大学の研究設備は、公衆の健康におおいに寄与してきたところです。この役割は増々大きくなると思われます。

 食品、水、生産品、伝染性ならびに非伝染性の病気、薬剤、職場や環境などは、その危害の突発性や多様性ゆえに、個々の仕事の領域を越え、学問の領域を越え、国境を越えてわたしたち自身が、健康と「危害管理」について新しい対処の方法を身につけるよう要請しているのかもしれません。


用語解説:
バンコマイシン耐性腸球菌VRE 腸の粘膜や外陰部などに住みつく「腸球菌」の中で、バンコマイシンと呼ばれる抗生物質が効かなくなったもの。欧米でのVREの多発は、病院でメチシリン耐性黄色プドウ球菌(MRSA)や肺炎球菌の冶療に、バンコマイシンが多用されたことが主な原因とされる(読売新聞 7.24.1998)
新しいタイプの臓器移植(New types of organ transplants) インシュリンを分泌するランゲルハンス島(すい島)と呼ぱれる細胞の塊を分離して糖尿病患者に移植する「すい島移植」を、京都府立医科大学と京都大学が計画中(8.17.1998朝日新聞)

関連URL:
Health Canada カナダ政府機関
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