イギリスの食物調査レポートから学びたいのは、ダイオキシンは、食事中の動物性の脂肪分を減らしたり、リサイクルをしてゴミを減量したり、燃やすとダイオキシンの出るゴミ(ラップなどの塩化ビニール製品や漂白された紙)は燃やさないなどの努力をすることで、短い期間で暴露(取り入れる)量を減らせるかもしれないことです。
厚生省の95年の調査では、母乳から乳児に移行するダイオキシンの量は、体重1kg当たり72.1pg(72.1pg TEQ/kg bodyweight/day)とされ、TDI(一日耐用摂取量)10pg TEQ/kg bodyweight/day(厚生省)の7倍になります。
『厚生省では「母乳を一生飲み続けるわけではなく、乳児に直ちに影響が出るとは考えにくい」とし、健康上、問題はないとの見解。』(日経新聞8.4.1997夕刊)
しかし、次のような気になる報告もあり、ダイオキシンと乳幼児の関係は、けっして侮れないものがあります。「北九州大学医療技術短期大学部の長山淳哉助教授は、35組の母親と乳児を1歳まで追跡調査した結果、ダイオキシン類を多く含む母乳を飲んだ乳児ほど血液中の甲状腺ホルモンの濃度が上がり、ヘルパーT細胞が減る傾向がある、と五月に発表した。甲状腺ホルモンの濃度が下がると脳や体の発達が遅れ、ヘルパーT細胞の減少は免疫系統を混乱させアトピーなどを増やすとされる。
厚生省の調査でも、母乳育ちの子のアトピー性皮膚炎の発症率は6.8〜8.0%で、ミルク育ちの5.4〜6.4%よりやや高い。」(朝日新聞8.20.0997日刊)
次の部分はイギリスのレポートの翻訳です(これは著作権が放棄してあり、再利用可能でした)。
ダイオキシンとPCBは、脂溶性であり、長期にわたり脂肪組織に蓄積されます。それらはともに胎盤を越え、母乳として排泄されるので、胎児や乳幼児が(ダイオキシンに)暴露されることになります。この調査では、WHOのヨーロッパ支局の指導の元に、調査研究の一貫として多くの国の人の母乳が調べられました(1987年と1993年)。
イギリスにおけるダイオキシンの母乳中の集中は、1993-4年が1987-1988年と比べて減ってきており、これは食事からのダイオキシン暴露が成人で、250pg TEQ/person/day(1982)から88pg TEQ/person/day(1992)に減少していることと対応しています。これらは、産業界やその他のソースからダイオキシンを排気規制しようという計画が、食事中のダイオキシン摂取を減らし、結果として母乳中のダイオキシンレベルを下げたものと考えられます。
日本の場合はどうでしょうか?
1994-95年の国立環境研究所の調査では、日本の母乳脂肪中のダイオキシンは、21-37pg TEQ/gで、欧米と比べてかなり高いレベルです。この母乳中のダイオキシンが乳幼児に移行するのは次のようです。
Table 2: Estimated dietary intakes of dioxins from human milk by nursing infants | |||
年齢(月齢) | 乳幼児の平均母乳消費量 | 母乳からのダイオキシン移行量 | |
(g/day) | (g/kg bodyweight/day) | (pg TEQ/kg bodyweight/day) | |
2 | 741 | 160 | 110 |
3 | 785 | 140 | 100 |
4 | 783 | 124 | 88 |
5 | 717 | 103 | 73 |
6 | 584 | 79 | 56 |
7 | 493 | 63 | 45 |
8 | 351 | 42 | 30 |
10 | 322 | 37 | 26 |
今のところ母乳にはちょっと毒が入っています。それは食品全般にダイオキシンが含まれているので避け難いことです。そして、食事内容を低脂肪食にしたり、近海魚を多く食べすぎないなどの工夫で、少しずつ改善されるばかりという厳しさで、母親と乳児に大きな負担をかけている状況です。
「ラップは燃えないゴミとして出そう!」