感染症対策と法改正
健康・スクラップブック
感染症対策の全面的な見直し
平成9年12月8日、厚生省公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会は、「新しい時代の感染症対策について」の報告書を発表しました。
「患者の人権に十分に配慮し、早期治療の積み重ねに重点を置いた感染症対策に転換するべきだ」との提言です。これにより、公衆衛生審議会伝染病予防部会に報告され、厚生省が部会の最終意見を踏まえ、今年(1998)の通常国会に法改正案を提出することになります。
現行の伝染病予防法は、患者の隔離によって感染の拡大を防ぐという発想になっており、「らい予防法」にはじまり「エイズ予防法」にいたるまで、集団の感染症予防に重点を置いたため、ともすると患者の人権を犠牲にすることがありました。また、こうした隔離政策により、むしろ情報が正しく行き渡らないことがあるため、患者や感染者に良質な医療を受けてもらえないばかりか、感染症予防の知識や施策も十分成熟しないままにきました。
こうした問題を解決するため、感染症対策を全面的に見直すべきだとする厚生省の諮問により、公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会は「新しい時代の感染症対策について」という報告書をまとめました。
法律の目的
- 「感染症の発生と拡大の防止、患者・感染者に対する良質な医療の提供と人権の尊重」
- 「国や地方公共団体は、隔離措置等を原則としない制度の実行を担保するため、感染症の発生・拡大等に関する情報を収集し、分析し、国民や患者・感染者に公開提供して理解と協力を求める」
- 「国や地方公共団体は感染症予防に必要な総合的な施策を企画実施すると共に、医療体制の整備等を行う」
- 「感染症のために患者や感染者の行動制限を含めた権利の制限を行う時は、必要最小限で均衡のとれたものにする」
- 「医療関係者は、患者や感染者に対して良質な医療の提供と、国や地方公共団体の要請に協力する。また、患者等の人権を損なうことのないように努める」
感染症を対応によって4分類
罹患した場合の感染力と重篤性に基づいて、
- 危険性の低い1号感染症(インフルエンザ、MRSA感染症、マラリアなど)
- 場合によっては就業制限などを行う2号感染症(腸管出血性大腸菌感染症など)
- 状況に応じて入院勧告命令を行う3号感染症(コレラ細菌性赤痢、腸チフスなど)
- 原則として入院勧告・命令を行う4号感染症(ペスト、エボラ出血熱など)
感染症指定病棟(床)の設置と整備
- 一般病棟(床)
- 第一種感染症指定病棟(床)
- 第二種感染症指定病棟(床)
- 第三種感染症指定病棟(床)
人権保証の観点にたった行政手続き
法律の改正に伴い、「後天性免疫不全症候群(エイズ)の予防に関する法律」(平成元年1月17日 法律第2号)が「伝染病予防法」を適用していることから、廃止されるということですが、どのような部分が変わるのでしょうか?
入院の勧告と命令
感染症の感染力、重篤性などによる類型に応じた必要最小限で均衡のとれた行動制限
感染拡大防止措置(就業制限、入院勧告、入院命令を除く)
最後の意見にも見られるように、今のところ「エイズ予防法」との違いが明確になっていないので、期待できるものがないかもしれませんが、引き続き調べていきたいと思います。
また、「国民と厚生省との信頼関係が損なわれてしまった」といわれているので、インターネットを通じてWHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾患管理センター)から情報をモニターする必要があるかもしれません。
関連URL:
公衆衛生審議会伝染病予防部会の報告資料 厚生労働省保険医療局結核感染症課
後天性免疫不全症候群の予防に関する法律 名古屋大学医学部
伝染病予防法
CDC Homepage(Center of Control and Prevention) アメリカ疾患管理予防センター
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