のしかかる医療費負担

健康・スクラップブック


  健康保健法改正 今秋から実施見通し

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大幅な負担増につながる健康保険法などの改正案が、衆議院で修正を経て可決され、今秋からの実施が確実な見通しになってきた。社会の高齢化の中「自己負担増」の流れは強まるばかり。賢い利用者になるためにも、医療の仕組みをよく知っておこう。
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薬剤費負担増の計算例
 今回の法が成立するとどのぐらいの負担増になるのか、試算してみた(「改正案のポイント」参照)。

【例1】サラリーマンが風邪で開業医を受診
 点滴治療を受け、内服薬四種類四日分と頓服(とんぷく)薬(痛み止め)を処方された。
 初診料薬剤費などの診療報酬が六百点(一点十円)と仮定すると、現在は一割負担で六百円。改正後は、本人負担二割に、四種類の内服薬(七百円)と頓服薬(十円)の外来薬剤費が加わり千九百十円(218%増)になる。ただし、薬価の安い内服薬を使う場合、一日の処方の合計額が、二十点まではまとめて一種類とみなされるため、薬剤費がかからず千二百十円(102%増)か、二〜三種類とみなされ千八百十円(185%増)でとどまる場合もある。

【例2】サラリーマンが、虫垂炎の手術を受けて一週間入院
 入院料、手術費などの合計が三万点とすると、現在の本人負担は、その一割に食事代(一日七百六十円)を加えた三万五千三百二十円。改正後は二割負担で六万五千三百二十円(85%増)になる。

【例3】高齢者が病院の内科に月二回かかり、六種類の内服薬を処方されている(場合)
 現在は定額の千二十円。一回あたり五百円の外来負担に薬剤費負担(千円)二回分が加わって三千円(194%増)になる。

【例4】高齢者が骨折で一カ月入院
 現在は、一日あたりの入院費が七百十円、食事代が七百六十円で、三十日合計で四万四千百円(低所得者は減額)。入院費が一日千円に上がるため、五万二千八百円(20%増)になる。


 当初の改正案では、外来薬剤費を「一日一種類あたり十五円」としていたが、事務作業が煩雑になり過ぎることなどら、種類数に応じて負担額を決める形になった。いずれにしろ、これまで一割負担だったサラリーマンと、高齢者で受診回数の多い人にとっては大幅な負担増になる。

改正案の評価は、大きく分かれる
 東京の若手医師グループ「メディカル・ブレイン」の永野正史代表はこれまで、薬をたくさんもらえば良いと思っていた患者さんにコスト意識が生まれるのではないか。自分の病気や薬について勉強したり、きちんと説明してくれる医師を選ぶようになれば、患者本位の医療につながる」と期待を込める。
 他の先進国に比ベ、処方される薬の数が多いこと、効き目の不確かな薬が多く出回っていることは、日本の医療問題の一つ。「たくさんもらうけれど、半分も飲まずに捨てる」といった薬の無駄遺いも減る可能性があるという。
「医者からもらった薬がわかる本」の著者で薬剤師の木村繁さんは、患者のコスト意識の高まりを期待しつつもこれからメーカーは安い薬の販売攻勢をかけるのでは。それによって国民医療費の薬剤比率は下がるかもしれないが、本来、患者さんに一番合った薬を処方するのが医療。経済性だけで左右されるのは怖い」と懸念を示す。
 それを解決するためには、医薬分業を進めるとともに薬の効き目についての情報公開が必要と主張する。
 開業医の間では負担増が患者離れにつながったり、必要な薬や治療を拒否する患者が出ることを警戒する声が高い。
 自己負担増の流れは、健保法だけではない。一九九四年十月には病院の食事サービスが有料化、九六年四月からは二百床以上の病院を対象に、紹介状を持たない初診の患者に対し、病院が一定の額を請求できる「特別初診料」が新設された。さらに公的介護保険法が成立すれば、二○○○年四月からは、四十歳以上の全国民が毎月二千五百円(厚生省試算)を負担することになる。
 今後の医療、福祉と負担の在り方について、もっと生活者の立場から議論されていいはずだが。


欄外: 改正案のポイント
2割負担 大企業のサラリーマンが加入する組合保険と中小企業のサラリーマンが加入する政府管掌健康保険(政管健保)で、これまで1割だった本人負担を2割にする。

高齢者の外来負担 70歳以上の高齢者は、これまで月に外来をどれだけ受診しても1020円の定額負担だったが、それを1回当たり500円にする。1か月間に同じ病院を何度も受診する場合は、5回からは無料。

高齢者の入院負担 現在の1日710円から1997年度は100円に。98年度は1100円。99年度は1200円。

薬剤費負担 外来で処方される薬が1種類なら無料。2ー3種類の場合は400円。4ー5種類だと700円。6種類以上は1000円。他に外用薬は1種類80円、頓服薬は1種類10円。

政管健保の保険料率 月収8.2%を労使折半で負担していたが、これを8.5%に引き上げる。毎月支払っている保険料が月収の0.15%上がる。

6.3.1997 東京新聞朝刊


関連URL:
KPUM-NET DRUG INFORMATION(京都府立医科大学)の薬のデータベース 
 これからは、少しでも多く薬のことを知るべきかもしれない。
薬剤名から検索する本格的な薬のデータベース。これはすごい!
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