ダイオキシン調査報告と数値
健康・スクラップブック
ダイオキシン調査報告の数値を読解する
3省庁合同調査報告
3.25.1999に厚生、農水、環境の三省庁は、所沢産の「ホウレンソウは1グラム当たり最高値で0.22ピコグラム(コプラーナPCBを含む)で、厚生省が毎年行う全国調査結果の範囲内、「現在の科学的知見による判断では健康に影響はない」とし、事実上の安全宣言を出しました。
また、3.29.1999に環境庁は、大阪府能勢町と、埼玉県所沢市などのごみ焼却施設周辺を対象に実施した住民の血液や土壌などのダイオキシン濃度調査結果を発表しました。
土壌のダイオキシン濃度は、能勢町では施設から半径2キロ以内の地域6地点が土壌1グラム当たり1.1〜330ピコグラムで、平均は63ピコグラム。その外側の半径約10キロ以内の10地点は0.012〜43ピコグラムで、平均は7.4ピコグラムでした。
そして、所沢では、焼却施設近くの9地点が平均29ピコグラム、県内の他の地域6地点は平均7.6ピコグラムでした。
血液は、能勢町の施設周辺の15人の平均は、脂肪1グラム当たり20ピコグラム、埼玉県では施設近くの16人の平均は14ピコグラムでした。
また、4.1.1999には、「千葉県浦安市弁天の同市旧清掃工場跡地で、ごみ焼却灰を野積みにしていた二カ所から、土壌1グラム当たり1700ピコグラム(1ピコは1兆分1)と、290ピコグラムという高濃度のダイオキシン類が検出されていた問題で、同市環境課は31日土壌撤去を行うと同時に、周辺住民の健康調査を実施することを明らかにした」と報道されました。
ダイオキシン調査と数値
次々と発表されるダイオキシン調査とそのデータは、未だに基準値が発表されていないだけに、難しく感じます。
危険なのか安全なのか(統計的数値は恣意的ではないのか)、一体これらの数値をどう読めばよいのでしょうか?
例えば、上のような調査を通じて、次のような点が今後データとして提供されるものと思います
- 土壌のダイオキシン濃度は農地として適正な範囲か
- 牛乳や肉、そして母乳の脂肪にダイオキシンの蓄積がどの程度進んでいるか
- 焼却炉周辺で子どもに健康影響が出ていないか
- 海に住む魚類のダイオキシン蓄積は?
EPAの最新研究報告「PUBLIC HEALTH IMPLICATIONS OF EXPOSURE TO POLYCHLORINATED BIPHENYLS (PCBs)」(このリポートは正式版ではないので引用を禁じられています)によれば、PCBsは、胎児期や幼児期での暴露が、発ガン性ばかりでなく神経学的な発達や免疫機能の成熟を遅らせることなどが明らかになりつつあります。
また、国際的な科学的な調査は、ダイオキシンならびにPCBsの毒性が日を追うごとに懸念され、一日耐容許容量(Tolerable Daily Intake)や最高耐容集中量(Maximum Tolerable Concentration)の数値を低くするよう促しています。
ともかく、ダイオキシンやPCBsは、環境中からできるだけなくそうという認識で、日本の閣議でも「ダイオキシンを10分の1にする」という宣言が3月下旬(1999)にされたようです。
土壌に関する数値では、環境庁が「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」で専門家が集まり、昨年(1998)5月から議論を重ねています。その資料の一つ「土壌中ダイオキシン類の環境影響の評価方法の考え方(案)」や「ダイオキシン類による土壌汚染対策事例等海外調査の概要」に、欧米の例が掲載されいます。
- 農地は、40ピコグラム/gで「慎重に調査する必要があるレベル」(ドイツ)
- 居住地については1,000pg-TEQ/g(ドイツやオランダ)
- 商業工業地帯は5000pg~20000pg(EPA)
- 牛乳の汚染が確認された時、規制値を6pg/g fat milkに設定(オランダ)
- 肉や魚への影響を懸念し、牧草地は10pg TEQ/g、川や海の低質を100pg TEQ/gに(オランダ)
- 牛乳はフランスでは5pg TEQ/g fat をこえると販売禁止または廃棄
こうしてみると、能勢町や所沢の調査と数値は、土壌や血液中の濃度を見る限り、「今すぐ健康に影響があるとは思えない」としても、早急に対策が必要なレベルであるかもしれません。
汚染土壌の撤去と処理
また、能勢町や浦安市のような、清掃工場跡の焼却残渣(ざんさ)の撤去は、今後日本全国で問題になることと思われます。
全く予想もしていなかった場所から、焼却灰が出てきたり、PCBs入のドラム缶が出てくることを覚悟しなければならないのかもしれません。
処理の方法として、前出の「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」第二回議事録によれば、現時点で
- 加熱脱塩素化
- 溶融固化処理
の二つが上げられ、将来的には - 化学処理によるダイオキシン含有物の処理方法
- 長期的に低濃度のものを安定化させる方法としてバイオレメディレーション
が候補に上げられています。
いずれにしても、大変コストのかかる問題なので、一挙に解決というわけにはいかないようです。
ダイオキシンと単位
1ng(ナノグラム)=10億分の1グラム
1pg(ピコグラム)=1兆分の1グラム
1ppm=1000ng/g=100万分の1グラム
1ppb=1ng/g=10億分の1グラム
1ppt=0.001ng=1pg/g=1兆分の1グラム
関連URL:
pcb99.html EPA
「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」第一回議事録 環境庁
「ダイオキシン類による土壌汚染対策事例等海外調査の概要」(PDF書類) 環境庁
「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」第二回議事録 環境庁
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