同センターのスタッフは十三人の看護婦をはじめ、生活指導員、心理士、保母ら二十一人。学用品や翌日の時間割の用意、洗濯から掃除まで面倒を見る。〃お母さん〃そのものだ。
現在暮らしているのは男子十八人、女子十二人の計三十人。小学二年から中学三年までの二十九人は町内の二つの中学、三つの小学校に通学している。
■ほぼ1年で退院
朝は六時に起床、病院の周辺約一キロを走る。朝食を済ませると、次々と登校していく。午後四時。学校から帰ってくると、水着に着替えて温水ブールで水泳。心肺機能を鍛える。泳げなかった子どもたちも、退院するころには一キロの遠泳ができるようになっているという。
午後六時からタ食。七時からぜんそく体操、腹式呼吸、たんを吐く訓練をする。七時半からおやつを食ベ、八時からは勉強時間。九時消灯で、勉強時間は一時間しかない。テスト前の生徒は早朝五時ごろに起きて勉強する。テレピは休日しか見ることができない。
両親との接触を断つのも自立心を育てる治療の一つで、月一度の面会しか許されない。規則正しい生活を続けた子どもたちは、平均一年ほどで退院していく。
■入所者は減少
ぜんそくはダニやカピなどに対するアレルギー反心で引き起こされる。家具などの合板を張り合わせるのリに含まれるホルムアルデヒドも原因物質の一つ。このためぜんそくの子どもは、冷暖房が完備され室内の気密性が高い、アパートやマンションに住む家庭に多い。しかし、小児ぜんそく患者が増え統けるなかで、意外にも同センターの入所者は減っている。多い時は約七十人いたが、今はその半分以下だ。
「かつては空気が汚れていない土地への転地しか治療法はないと思われていたが、治療薬の進歩で小さな診療所でも冶せるようになってきた。」開設以来二十六年間、同病院の院長を務め現在は名誉院長の岡崎礼治(70)さんは説明する。
小子化も手伝った。全国の同様の施設でも収容人数は年々減っているという。
■海洋療法に注目
海で泳ぎ、澄んだ空気を吸い、新鮮な海産物を食べる。同センターがぜんそく治療として取り組んできたことは今、タラソセラピー(海洋療法)として注目を集めている。同療法はストレス解消やリハビリなどにも効果があるという。県などが掲げる天草海洋リゾート基地建設構想にも天草を癒(いや)しの島」として整備するアイデアがあり、同病院が治療の中心となることが期待されている。ただ、岡崎さんは「患者は減っているが、当面は今のやり方を続けたい」と話す。
八月末には同センターの退院者による初めての大同窓会が熊本市で開かれる。全国各地に散うばった〃卒業生〃たちは、病院の懐かしい思い出を語り合う。
6.29.1998熊本日日新聞