(株)新日化環境エンジニアリング(SKE)のホームページ「レジオネラ症発生状況」によると、ここ数年は、1996年に岩手県の温泉で3名、1997年に慶応大学病院の新生児3名、東京の特別養護施設の24時間循環式浴槽で1名など数件が散発的に発生しているが、集団発生はない模様です。
腐葉土とレジオネラ菌
多くのレジオネラ症は、Legionella pneumophilaという菌株で、腐葉土に関連すると思われるLegionella longbeachaeはごく稀です。
1999年7月に豊橋市の男性(糖尿病を患っていた)が重症のレジオネラ肺炎で入院した事例は、感染症研究所の「造園業者に発生したLegionella longbeachae重症肺炎の1例 」のページに記載されています。
この文書によると、「L.longbeachaeによる肺炎は、特にオーストラリアに多く、1988〜1989年の南オーストラリアの集団発生では23症例報告されており、そこで使用される腐葉土などの植物性堆肥との関連性が指摘され、造園との関わりが深い。」と報告されています。
ただし、豊橋の男性の勤務先の造園会社で使用している園芸用腐葉土からはLegionella bonzemaniiのみ検出されLegionella longbeachaeは検出されなかった、ということです。その男性は、グアム島へゴルフ旅行に行き、帰国後発症したことから、当地での感染が疑われています。
Legionella longbeachae
「CDCの統計によると米国では1980年から1989年の10年間に発生したレジオネラ症3524例中、953例の菌が証明され、L.pneumophilaが90.7%、L.micdadeiが3.4%、L.longbeachaeが2.4%となっている。日本では、L.longbeachae肺炎は1984年に入江らによって血清学的に診断された1例の報告があるのみで、菌を分離した症例の報告がない。」ということです。ただし、アメリカでは園芸に腐葉土を使わないらしいことも付け加えておくべきでしょう。
そして、日本では、レジオネラ症は[四類感染症]に指定され、医師の報告義務がありますが、腐葉土が関連するレジオネラ菌の分離は1例報告されただけです。
日本の腐葉土とレジオネラ菌
(株)新日化環境エンジニアリング(SKE)の「腐葉土からのレジオネラ感染例および菌の検出 」が参考になると思います。
それによると、琉球大学医学部第一内科の先生が、「日本産腐葉土からのレジオネラ菌の分離を試み、大阪、兵庫、長崎および沖縄の小売店舗から全国的に流通しているロット17袋を選んだ」ということです。結果は、「 L.bozemanii の分離頻度が最も高く11検体、次いでL.longbeachae が多く、L.micadadei, L.L.O.の順に多く、L.pneumophila(血清群1以外)、L.gormanii,L.cincinatiensisも少数検出された」ということです。ただし、腐葉土からの感染事例は、日本では1例か2例に過ぎません。
それで、それほど神経質になることもないが、腐葉土にレジオネラ菌が繁殖する可能性はあると言うことなので、それなりに注意を払うべきなのかもしれません。
気をつけたいこと
レジオネラは日和見感染症といわれ、健常者に感染することは稀です。しかし、アメリカCDC(アメリカ疾病対策センター)のLegionellosis- General Informat(レジオネラ症-一般向け情報)によると、レジオネラ症は、どんな年齢の人でも罹るかもしれない。ただ、中年を過ぎた人や高齢者はより罹りやすい。特にたばこを吸っている人や肝臓に慢性的な疾患がある人。また、がんや腎臓疾患、人工透析患者、糖尿病、エイズなどで、免疫システムが弱っているとリスクが大きくなる。免疫抑制剤の服用者も同様にハイリスクということです
腐葉土の関連では、6〜9月のレジオネラ菌が増殖しやすい季節に、ハイリスクの人は特に、腐葉土を吸入したり摂取したりしないような工夫が必要でしょう