Medical Record Card
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診療情報の開示
1997年7月10日厚生省は、「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」を開き、- 患者の求めに応じたカルテ等の診療記録の開示の問題
- 医療分野においても情報化の進展に対応する
といったテーマが議論されてきました。
そして、1998年6月18日に同検討会から報告書が提出されたということです。
また、今年(2000年)1月に東京病院協会(河北博文会長)がシンポジウムを開き、「診療情報の開示問題」が、医師・病院長、患者、弁護士らによりさまざまな角度で話し合われました。(1/26/2000 東京新聞日刊)
そして、都立広尾病院の医療過誤事故を切っ掛けとして、1999年11月から都立十四病院でカルテ開示が始まりました。
Yomiuri/Online 医療ルネッサンスの『正確な診療記録作成「情報管理士」が一役』やメディカルトリビューンの「診療情報管理士」の記事によると、一部の病院(聖路加国際病院や佐賀医科大学など)ではすでに「診療情報管理士」が配置され、医療行為の正確な記述が行なわれているそうです。
Medical Record Card
そこで、「海外の病院が、診療情報を患者にどのようなケースで、どのような条件でもたらすか」、
「病院会とか病院協会みたいなところが、医療情報開示の一定のガイドラインを出すらしいが、それはどういうものか」、
また、「アメリカの先進的な病院では、カルテが完全に電子化され、オンラインで取り寄せられるという話を聞いたことがあるが、これは本当なのか」など調べてみることにします。
「medical record card release」のキーワードでアメリカの強力な検索エンジンの一つ、AltaVista(Caloric Dietのホームページ左下の領域に設置しています。よろしければお試し下さい)にいれてみると、テキサス大学医学部(The University of Texas Medical Branch)のホームページとつながりました。
The University of Texas Medical Branchの「Information Policy & Procedure」(情報化政策とその手順)という文書によると、患者の健康上の情報はつとめて秘密が守られなければならない。そして根拠が明らかであり、正当と認められた請求に対してのみ開示される。
言い換えると、患者に関する情報は原則として患者のみに開示され、例外として法律により認められた代理人、そして内部鑑査や公的機関の利用のような、法律により承認されたものに限られるということです。
そして、カルテなどの診療情報は、「Medical Record Documentation Guidlines」が推奨する次のようなことを含み、
- 患者をはっきり同定できる情報(sufficient information to identify the patient)
- 診断を助ける情報(suport the diagnosis)
- 治療の公正さとその結果の正確な文書化(justify the treatment and to document the results accurately) 作成されます。
そのガイドライン(診療記録に含まれなければならない情報の指針)の中で、一般的に日本の現状と違うのではないかと感じる項目は、
- インフォームドコンセントをしたというはっきりした証拠(誰がそこに同席していたかなど)が記述されていること
- ある治療法を行った結果について、医学的な(客観的)観察(評価)がなされていること
- 医療スタッフやその他の承認され人たち(介護人など)が経過記録(progress notes)をつける
- 患者の権利として心のケアサービスを受けた記録(legal status for patients receiving mental health services)
などが上げられます。
診療情報の提供が必要な理由
診療情報はどのような局面で活用されるのでしょうか。
- 医療機関の運営管理
- 医療保険
- 訴訟(医療過誤)
- 教育・研究(行政による統計) であり、
病院と患者という関係の中では、- 医療従事者と患者の信頼関係の強化
- 情報の共有化による医療の質の向上
- 個人情報の自己のコントロール
ということです。
患者の知る権利?
日本病院会の「遅れているわが国のインフォームドコンセント」によると、患者の知る権利は、欧米では1947年「ニュールンベルク綱領」、 1964年「ヘルシンキ宣言」<第18回世界医師会総会>、1972年「患者の権利章典に関する宣言」<アメリカ病院協会>により、数十年前から医療側から明確に提示されています。
しかし、残念ながら日本の「診療情報の開示」は、法律的な裏付けを探すことは難しく、「病院の好意」とか「医師の良識」に頼らなければならないのが実情かもしれません。
「外国では法律などにより診療記録の開示請求権を認める国が増えつつあるが、日本では開示義務を直接定める法律の規定はない」と言われています。
現在のところ、医療法第21条の14「診療に関する諸記録」、医師法第24条と歯科医師法第23条で「診療録の作成と保存が義務付けられ、保存期間が前者が2年、後者が5年」と定められています。
また、医療法では、「過去2年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、検査書見記録、エックス線写真ならびに入院患者および外来患者の数を明らかにする帳簿等の諸記録を備えておかなければならない」と言うことです。
その他、関連法令としては、医療施行規則第20条、薬剤師法第26条。そして、医療訴訟に関しては、民法211条「業務上過失の時効は5年」、民法第415条「診療契約違反の時効は10年」などがここでは大切だと思います。
ただ、いずれも訴訟の際に参考になるものの、患者の知る権利を保障するものではありませんでした。
実際、診療行為に違法性が疑われる場合は、現時点では、病院にカルテの開示を申し入れるというよりは、むしろカルテの改ざんや隠ぺいを許さないために、弁護士を介して証拠保全の手続きを取り、死亡した場合には臨床解剖などの手順を踏むなど、資料の収集が必要のようです。
インフォームドコンセント
2000.2.29東京新聞夕刊によると、信仰上の理由から(手術中の)輪血を拒否した「エホバの証人」の女性信者が起こした訴訟で、最高裁は医師側の上告を棄却し、国と医師三人に損害賠償を命じました。「医師には、ほかに救命手段がない事態になれば輸血するという治療方針の説明を怠った違法がある」と医師の説明の義務(accountable)を問うものでした。
同時に、医師からの「インフォームドコンセント」を通じて患者自らが選択するという「自己決定権」が尊重される事が示されました。
画期的な判決と言えるのではないでしょうか。
憲法13条で保障された人格権が、医療上の自己決定権を含むという解釈ですが、「診療情報の開示」の流れを加速するものと期待されています。
カルテの電子化について引き続き調べたいと思います。
関連URL:
「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」 厚生労働省
『正確な診療記録作成「情報管理士」が一役』 Yomiuri/Online 医療ルネッサンス
診療情報管理士 Medical Tribune
Health Information Management UTMB テキサス大学医学部
「Medical Record Documentation Guidlines」(PDF書類) テキサス大学医学部
「Information Policy & Procedure」 テキサス大学医学部
「遅れているわが国のインフォームドコンセント」 日本病院会
参考資料:
2000.2.29東京新聞夕刊
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