変異型のクロイツフェルトヤコブ病(vCJD)
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変異型のクロイツフェルトヤコブ病(vCJD)
変異型のクロイツフェルトヤコブ病(vCJD)
変異型のクロイツフェルトヤコブ病(vCJD)は、1996年3月にイギリスで10人の感染が初めて報告されました。
これまでクロイツフェルトヤコブ病(CJD)というと、医原性の硬膜や角膜の移植や脳下垂体の一部を注入したことで起ったり、家族性の遺伝的に起こる病いという感じでした。しかし、この新しい変異型のCJDは、はっきりとした確証はないものの、牛海綿状脳症(BSE)の仲介物質(BSE agent)に汚染された牛肉や牛製品を食べたことが原因らしいということで、科学者の意見は一致しています。
この病気で特徴的なのは、原因物質がどんな伝統的な感染物をもってしても置き換えて表現することができないことです。バクテリアでもなければ、ビールスでもなく、原生動物(protozoa)や真菌類(fungi)でもない。
それは、あまりにも不吉で陰湿な、病気の仲介者・発動者(BSE agent)だということです。
これがプリオン(prion)と呼ばれるタンパク質です。
プリオンは、一つの宿主から他へ移行することができ、正常なタンパク質を悪いものに複写し、増やして、脳に蓄積してしまうと推測されています。
これまで、このような伝達性海綿状脳症(TSEs)は、牛(bovine)をはじめとして、羊(sheep)や山羊(goat)、鹿(deer)、ヘラジカ(elk)、ネコ(cat)、ミンク(mink)で報告されています。猫の場合は、ペットフードを経由してプリオンが伝達され、今後被害が拡大する恐れがあるかもしれないそうです。
vCJDは今のところ予防的なワクチンがなく、治療法もないので、病気を起こすようなBSEの仲介物質(BSE agent)が体内に蓄積されると、約5〜30年の潜伏期間を経て、発症し、容赦のない致命的な病いなのだそうです。
また、アメリカのFDA(食品医薬品局)のBovine SpongiformQ&Aによると、クラシックなCJDがだいたい63才をを越えているのにくらべて、変異型のCJD患者は平均28才であり、若年層が罹っています。
症状は、まず深刻な精神医学的な失調と、視覚や聴覚や臭覚の変調から始まる。そして数週間から数カ月後に整合的な筋肉運動ができにくくなり、筋肉の痙攣や脳波図の異常が見られる。結局、脳がスポンジ状になり、進行性の痴呆が進み、症状が出始めて5〜13ヶ月で死亡するのだそうです。
BSEとvCJD
vCJDを含むCJDの死亡例の年次推移は、イギリスのエジンバラ大学(Edinburg)のホームページ、CJD Statistics(クロイツフェルトヤコブ病の統計)で参照することができます。
この調査によると、イギリスで病理学的に変異型CJDと確認されているのは、
- 1995:3
- 1996:10
- 1997:10
- 1998:18
- 1999:15
- 2000:28
- 2001:16(~september) 2001年9月時点で累積100人、それは増加傾向にある
ようです。
最終的にどのくらいの患者が出て、死亡する可能性があるかとの問いに、「オックスフォード大学のニール・フェルグソンNiel Fergusonのグループが試算した結果、(イギリスで75万頭のBSE感染ウシが屠殺されたとすると、)最大13万6000人という推定が出されました」(情報源は山内一也東大名誉教授の人獣共通感染症連続講座(第105回) 2000.11.2 のページ)。
特定危険物質(SRM)と生産品
日本の厚生労働省は、2001.10.5に「特定危険部位を含むおそれのある牛由来原材料を使用して製造又は加工された食品の安全性確保について」という文書を出しました。
内容は、
- 対象となる食品の製造者及び加工者は、速やかに、牛由来原材料に特定危険部位が使用され又は混入していないかを点検するとともに、その安全性を確保するための製造又は加工の方法について確認すること
- 製造者及び加工者は、上記(1)により点検、確認した事項を所轄の保健所に報告すること
特定危険部位(Specified Risk Materials)は、脳、脊髄、眼、回腸遠位部です。
また、対象となる食品の製造は、牛脂、脂肪酸エステル(乳化剤)、ゼラチン(ゼリー菓子やヨーグルトなど)、コラーゲン(健康食品など)、ビーフエキス(インスタント食品やスナック菓子など)、カルシウム、動物タンパク質などです。そして、食品以外では、医療・医薬品(軟膏剤やカプセルや滋養強壮剤など)、化粧品(ローションやクリームなど)、ペットフード、サプリメント(プロテインなど)、飼料などに牛の組織(tissue)が使われています。
これを受けて、味の素(株)や森永製菓(株)や明治製菓(株)、カルビー(株)、日清食品(株)などの製造メーカー各社は、調査結果を保健所に届け、それぞれのホームページで掲載しています。
これらの調査結果で眼をひくのは、原料がアメリカやオーストラリアなどBSEが発生していない国から輸入したものや、日本のものを使っているが、プリヨンの不活化(inactivation)をしているので、問題はないだろうという表現です。
不活化の方法は、一応WHO/OIEが規定しています。
「一応」という言い方をしたのは、プリヨンそのものが、病気の感染力と推測されているに過ぎないからです。ともかく、不活化はOIE(国際獣疫事務所)のB-115Bovine spongiform encephalopathyのページによると、
- 冷蔵または冷凍保存されたものを、138℃で18分間高圧で加熱処理する(この温度では不活化は不十分かも知れない)
- 酸やアルカリ(Ph)には安定的である
- 2%濃度の塩素、水酸化ナトリウム溶液に20℃で1時間。
- 体のある部分の組織が、乾燥した器官などに守られていたり、アルデヒド定着剤などに保存されていると、不活化は不十分な効果しか持たないかもしれないので、不活化の評価は、あくまで伝達性が減じられること(表現)が推奨される。ハムスターに関していえば、スクレイピーの感染力は、3年間土に埋められていても保持され、360℃の高熱に1時間あっても保持されていた。
vCJDは、1996年に初めて報告されたばかりで、予測や予言をするには時間が足りないわけだし、不活化が完璧にできる手順も見つかっていないので、より慎重に観察していかなければならないのかもしれません。
関連URL:
CJD Statistics エジンバラ大学
人獣共通感染症連続講座 徳島大学医学部
Bovine Spongiform Encephalopathy and Variant Creutzfeldt-Jakob Disease:Background, Evolution, and Current Concerns CDC(アメリカ疾病対策センター)
特定危険部位を含むおそれのある牛由来・・・ 厚生労働省
Bovine SpongiformQ&A FDA
B115 - Bovine spongiform enceph OIE(国際獣疫事務所)
Manual of standards for diagnostic tests and... OIE(国際獣疫事務所)
BSE(狂牛病)に関する弊社製品の安全性について 森永製菓(株)
牛由来使用原料の安全性についてのコメント発表企業(狂牛病関連) (財)食品産業センター
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