日本の「有機食品」は、言葉としてずいぶん幅を持っているので、混乱してしまいます。
そこで、「オーガニック(organic)」がどういうものなのか調べてみることにしました。
FAO(国連食糧農業機関)
「オーガニック」の基本は、FAO Organic Agriculture:Conclusions and Recommendationsで参照することができます。
それによると、まず第一に、発展途上国(ことに熱帯地域)の農業が持続的に行なえるような技術と状態をいかにつくり、食糧不足とそれに伴う飢餓を食い止めるか。そして、そのために有機農業が果たす役割を見い出そうというものです。
アメリカの「オーガニック食品生産法」
アメリカの有機食品の規制基準、FDAの「NATIONAL ORGANIC PROGRAM PROPOSED RULE」は、97年10月16日に発効されました。90年から準備が始まり、紆余曲折の上ようやく法律の制定までたどりついたようです。
アメリカでは、「Organic food」(オーガニック食品)という時、「93年にFDA(米国食品医薬品局)が22の野菜や果物を調べたところ、108もの農薬が検出されたという調査結果が大きな転機となり」、「化学薬物を使用する従来の農法が、社会的コストをむしろ増すものという考え方に支えられています。つまり、
オーガニックの現状は、「Delivering safe food to consumers」(安全な食品を消費者の元へ)1.23.1998という記事によれば、売り上げが1980年に$78million(78000万ドル)(約100億円)だったものが、1996年には$3.5billion(35億ドル)(4625億円)に激増しています。そして、これは毎年20%の割合で増えています。
ただし、このリポートの最後に書かれているのは、まだまだ多くの消費者は「手ごろな値段」に魅力を感じ、93%の人は商品の選択で「見栄えの良さ(cleanliness)」をナンバーワンに上げています。また、98%の消費者は、ここ10年の間でも、品質の良い果物や野菜を、スーパーマーケットで購買する主な理由の一つに上げています。
日本の有機農業
農水省は「環境保全型農業」という言い方をしています。
農業白書(平成9年版)によると、平成7年10月1日から1年間に環境保全型農業を実施した農家数は、例えば水稲では10万7300戸(法人組織に加入している農家を除く)で、水稲販売農家に対する割合は5%となっています。
作っているものは、ほとんどが水稲と野菜です。だいたい9割弱ということです。
そして、「食料白書97」(農山漁村文化協会)は、「モノカルチャー(兼業を成立させるため、一つの農産物を作る農業)、大量流通のためにすみずみから大量の農産物が都市に集中した結果、都市にミネラルが集積し、農村部はミネラルや有機物が不足する状態になっている。」ということで、有機農業が農村部だけでは成り立たなくなっているようです。
いろいろなところで、「有機」「有機」といっていますが、(そんなにできる環境があるものか)消費者が疑いを持つのも仕方がないのかもしれません。
そして、アメリカに言わせると日本のほとんど多くの「有機」はオーガニックという資格がないものであり、農薬が普通(地域の常識量?)より半分程度の使用量なら「有機」と名のるのだし、違反した場合も法的な制裁はない(アメリカの場合は、高い罰金と5年間の認証取り消し)。「有機だと言った者勝ち」みたいなところがあって、皮肉なことに、長い年月をかけて「有機農業」の中で生産者と消費者の間で育ててきた「志(こころざし)」や「信念」や「信頼関係」みたいなものを、逆に危うくしています。
ところで、「有機 農産物チェック」(7.15.1998読売新聞)という新聞記事によると、日本でも「有機農業」の認証機関が、アメリカのオーガニック認証機関(例えばCCOFやOOCIが有名)に学びながら、活動を始めようとしています。こうした試みは、「有機」の信頼性を高めるためと思われ、期待したいところです。
しかし、今まで調べたところでは、残念ながら日本では農水省が作成したガイドラインの基準があいまいなままであり、このままでは単にブランドづくりのための権威機関となる恐れがあります。消費者にとって、「安全なもの」を選ぶ際に、むしろ混乱が増すことになるかもしれません。