特別管理産業廃棄物-PCBs
健康・スクラップブック
特別管理産業廃棄物-PCBs
PCBsと産業廃棄物
PCBs(ポリ塩化ビフェニール)は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(1997年改正)、第一条の「特別管理一般廃棄物」と、第三章「産業廃棄物」第二条の四の「特定有害産業廃棄物」により、取り扱い方法などが定められています。
また、この改正により産業廃棄物は、第十条で「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」と規定され、企業にとってより厳しいものになりました。
PCBsはほとんど多くが絶縁体として使われています。家庭には(一般廃棄物として)
- 古いエアコンディショナー
- 古いテレビ受信機
- 古い電子レンジ類
- 古い蛍光灯器具 などにあります。
また、産業部門では(特定有害産業廃棄物として)、トランス(変圧器)やコンデンサー(蓄電器)にあります。
イギリスのMAFFの文書「MAFF UK - POLYCHLORINATED BIPHENYLS IN FOODS-UK DIETARY INTAKES」(食物から摂取されるPCBs)によると、イギリスでは1940年代からPCBsが輸入されはじめ、1951年から1976年の間、国内で生産され続けました。
1970年代で、トランス(transformers)生産で10のメジャーな企業だけで、一年間に約3000トンが使われ、コンデンサー(capacitors)生産では主な4つの企業で約600トン使われました。
また、世界全体では1930年代から、累計で100〜200万トンであろうとされます。
この物質は、極めて安定的で、土壌や脂肪などに蓄積され、自然な状態で分解されることがありません。そして、現在のように環境中に漏れだしていると、たとえ低いレベルであっても食物や人の脂肪組織に集中していくということです。
イギリスでは、すでに有害物質管理法(The Control of Pollution Substances Regulations)1986により、新たにPCBsを使用して製品を作ることが禁じられています。ただし、すでに使われているものについては特別に禁止が免除され、主に絶縁体として生活の中に存在しています。
また、PCBsの無害化は、経済的な負担が大きく、技術的にも難しいので、未だに手付かずであるようです。
こうした理由で、PCBsは電気製品が不法に廃棄されたり、管理がずさんであると、環境中に拡散し、これが食品を経由して動物や人間に蓄積されていくようです。
人への影響
PCBsの人への影響は、アメリカEPAの「PCBs:Cancer Dose-Response Assessment and Application to Environmental Mixtures」が詳しいです。ことに、幼児期での影響が気になるところなので、45ページから48ページが参考になると思います。
PCBsの吸収は、
肝臓や皮膚の癌ばかりでなく、神経毒性(neurotoxicity)、生殖毒性(reproductive toxicity)、発達毒性(developmental toxicity)、免疫機能の障害(immune system suppression)、肝臓の障害(liver damage)、皮膚の疾患(skin irritation)、そして内分泌かく乱(endocrine disruption)が心配されます。
同リポートによると、幼児は、妊娠期と授乳期に高いPCBsの暴露を受けます。出産後、母親の脂肪組織に蓄積されたPCBsが、母乳を通じて新生児へ移行していく。
ふつう胎児の発達は、T3とT4のリリースレートとそのタイミングによっていますが、PCBsがどうやらその代謝に参加してしまう。それで、甲状腺機能を阻害し、その二次的な影響として発育期の器官形成を扇動してしまうようです。
(ただし、母乳は免疫機能を守るので、子どもにとって欠かすことができない栄養であると、WHOは母乳栄養を推奨しています)。
母乳中のダイオキシン濃度は、厚生省や東京都などが調査し、発表しています。それは、それぞれのホームぺージ、東京都衛生局の「食品ダイオキシン調査結果」や厚生省「母乳中のダイオキシン類に関する調査」で参照することができます。
ただ、この統計は、(単なる「感じ」を言ってもうしわけありませんが、)「廃棄物処理場と母乳のダイオキシン蓄積の関連性はない」という表現がコンシート(隠)されているので、信じにくいものになっています。
つまり、環境改善のための基礎的なデータとして、世界に通用するかは疑問です。
産業廃棄物の管理の状況
産業廃棄物の管理組織の整備状況は、東京都清掃局の「よりよい産業廃棄物の管理と処理をめざして」環境指導部・産業廃棄物指導課(平成9年度)という小冊子が参考になると思います。
これによると、PCBsなどもそうですが、人の健康や環境に有害な特別管理産業廃棄物を排出する事業所に「事業者処理計画」の提出を求めています。
廃棄物の発生や処理の見込み(事業者処理責任の徹底)に加えて、特別管理産業廃棄物の適正な処理と管理体制の整備状況などが報告の内容です。
報告対象事業所は、
- 資本金5億円以上の建設業
- 従業員300人以上の製造業や従業員100人以上の洗濯業
- 病床300床以上の病院(ただし国公立では100床以上)
- 大学、衛生検査所、自然科学研究所、血液センタ、上下水道業 です。
また、PCBsの取扱いは、電気絶縁物処理協会のホームページが詳しいです。
ここのPCBsのQ&A集によると、日本ではPCBsが「通商産業局長名の通達により、昭和47年9月1日以降(1972.9.1)、PCBの生産が停止された」ということです。そして、使用済みのPCB使用電気機器は、産業廃棄物となり、事業者は、その産業廃棄物の回収システムが確立されるまで、厚生省令で定める技術上の基準に従い、生活環境に支障がないよう保管しなければならない。
しかし、廃棄物管理は、大企業であっても約6割〜7割くらいしか体制が整備されておらず、まして不況下で経営が苦しい中小の企業にとって、少なからず負担となっているようです。
欄外:
PCBsが含まれる可能性のある電気部品やその他の製品:(資料はアメリカの政府機関LLNLのPCBガイドライン)3.13追加
- Adhesives(接着剤)
- Transformers(変圧器)
- Large, high- and low-voltage capacitors(大形コンデンサー)
- Liquid-cooled electric motors(液体冷却式モーター)
- Hydraulic systems(油圧装置)
- Heat-transfer systems(熱交換装置)
- Fluorescent light ballasts(蛍光灯安全抵抗器)
- Electromagnets(電磁石)
- Liquid-filled cable(液体充填ケーブル)
- Gasketing and dampening felt(ガスケットと湿ったフェルト?)
- Microscopy mounting media and immersion oil(顕微鏡台と湿潤油)
- Switches(スイッチ)
- Voltage regulators(電圧調節器)
- Vacuum pumps(真空ポンプ)
- Microwave ovens(電子レンジ)
- Electronic equipment.(その他の電気製品)
関連URL:
廃棄物処理法改正 鹿児島大学法学部スタッフ
MAFF UK - POLYCHLORINATED BIPHENYLS IN FOOD - UK DIETARY INTAKES MAFF
PCBs:Cancer Dose-Response Assessment and Application to Environmental Mixtures」(PDF書類) EPA
食品ダイオキシン調査結果本文 厚生労働省
平成9年度厚生科学研究「母乳中のダイオキシン類に関する調査」 厚生労働省
電気絶縁物処理協会
Guidelines for Polychlorinated Biphenyls LLNL
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