低用量ピル

健康・スクラップブック

低用量ピル

経口避妊薬
 女性の社会進出に伴い、パートナーやカップルは、「子どもをつくる時期をコントロールしたい」、「子どもの数をコントロールしたい」と考えています。そして、家族計画のより質の高いサービスは、簡便でしかも健康被害の少ない、最も先進的な避妊法が、適切な情報とともに与えられ、「自分で選べる(Informed choice)」ことが大切です。
 言い換えると、確実に避妊の効果が得られ、また再び子どもが欲しいと考えた時に、妊娠の機能がたやすく戻るような方法、そして障害が起こることが少ない安全な避妊法が、

  1. その有効性
  2. 正しい使い方
  3. 起こるかもしれない副作用
  4. リスクと利点
  5. 起こることが予測される症状
  6. その後の妊孕性の回復
  7. 性感染症の予防 などの情報と共に、求められています。
 しかし、日本では、主要先進国としては例外的に、経口避妊薬が認可されず、避妊の議論も成熟しないままでした。

低用量ピル
 低用量ピルは、マスコミで話題となっているものの、その有効性(避妊率)や正しい使い方、起こりうる副作用など、適切な選択をする際に知っておきたいことが、情報として少ないです。それで、ことによると「ピルはコンドームの代わりになるの?」という感じもある思います。

 WHO(世界保健機関)の「WHO publishes results of a new study on oral contraceptives and the risk of stroke」(WHOは経口避妊薬と卒中のリスクについて新しい研究成果を公表する」のリポートによると、海外で経口避妊薬は、すでに1950年代後半から使われはじめ、6000万人(9000万人ともいわれる)が服用しています。
 避妊薬は、しだいに研究が進み、1970年代に入ってより安全性の高い低用量ピル(low dose pills)が開発され、いくつかの避妊方法の中で、医師からの処方が圧倒的に増えました。
 いくつかの避妊法というのは、コンドーム、ベッサリー、リズム法、男性避妊手術、そして女性避妊手術などです。
 その避妊失敗率などの詳しい情報は、厚生省の「経口避妊薬(OC)の有効性についての中間とりまとめ」で確かめることができます。
 そのデータによると、失敗率(避妊をしたが妊娠した)は、コンドームの12%に対して、経口避妊薬が3%ということです。

 ところで、以前の経口避妊薬(high dose pills)は、ともすると血栓性の卒中(stroke)など心臓疾患の問題が起こる(10万例につき8例)ことがあり、心配されていましたが、低用量ピルでは、(10万例につき1例)にまでリスクが減りました。そして、喫煙していない、若い健康な女性で、肥満や高血圧症の既往歴がないなら、より危険率は少ないということです。

 低用量ピルは、エストロゲン(estrogen)とプロゲストゲン(progestogen)の2種類の合成女性ホルモンからなる合剤で、ホルモンの含有量をできるだけ抑え、重篤な疾患が起こらないように工夫されています。

 プロゲストゲンには、いくつかのバリエーションがあるようです。それは

 ただし、世代を追うごとに黄体ホルモン活性が増強されたが、アメリカでは、豊富な臨床試験から効果と安全が確保されているので、第一世代の薬がもっとも人気が高いそうです。
 また、ホルモン含有量が変化し、できるだけホルモン量が少なくてすむように考案された三相性タイプが主流。今回、日本の厚生省が承認申請を受け、審査をしている10製品(6処方)のうち、この三相性タイプは7製品(3処方)が占めます。

経口避妊薬承認の運び
 厚生省は、薬事審議会常任部会や公衆衛生審議会などで議論を重ね、その避妊の効果や安全性、そして服用する際の注意喚起事項などを取りまとめている模様です。
 それで、未確定ながら今年(1999)6月にも、10製品(6処方)が医薬品として承認される見通しとなりました。

 経口避妊薬の安全性は、WHO(世界保健機関)に、「HRP Online Home」という生殖と健康に関する専門のホームページがあり、さまざまな情報が提供されています。
 その中でも、「PROGRESS in human Reproduction Research」(人の生殖研究における進歩)NO.39,1966は、新しいタイプの経口避妊薬の、健康へ与える影響などが詳しくリポートされており、参考になると思います。
 このリポートによると、経口避妊薬で心配されるのは、主に

  1. 心臓疾患(血栓塞栓症)のリスク
  2. 乳ガンのリスク
  3. 子宮頚がんのリスク ですが、結論をいうと、
     「健康な若い女性が、一般的な経口避妊薬の使用を何も恐れるような理由は見出せなかった」ということです。
 つまり、ホルモンの含有量が1960年代とくらべて1985年は1/3〜1/10に低減されたことで、避妊効果を損なうことなしに安全性が増しました。
 ただし、ホルモン量が減ったことで、一方で「不正出血」という問題が起こりました。もしこのような症状が出た場合は、適切な種類の経口避妊薬を医師から処方してもらう必要があるようです。

服用上の注意
 低用量ピルを服用する際の注意点は、

 また、アメリカでは、家族に血栓症などの病歴がある場合に、時として血液凝固の検査が必要とされる。
 そして、喫煙とピルの組み合わせは、心筋梗塞や卒中のリスクを増加させるので、「喫煙は絶対にいけない」と指導されるそうです。また、血栓症のリスクとなるような生活習慣があれば、・・・例えば同じ姿勢で仕事を続けたり、きつい衣服で身を包んだり、激しい運動をして脱水症状を起こすなどは・・・経口避妊薬の処方対象から外されることもあるようです。

 いずれにしても、低用量ピルは、避妊の失敗率が3%と低く、服用方法さえ間違えなければ安全性の高い薬であるということです。


関連URL:
「PROGRESS in human Reproduction Research」NO.39,1966(PDF書類) WHO
WHO publishes results of a new study on oral contraceptives and the risk of stroke HRP Online Home(WHO)
経口避妊薬(OC)の有効性についての中間とりまとめ 厚生労働省
性と健康を考える女性専門家の会

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