ある種類のプラスチックの原料、ビスフェノールAが人の性ホルモンを撹乱(endocrine disrupters)し、生殖異変を起こす可能性のあることがわかりました。
こうした化学物質は、環境ホルモンといわれ、野生動物や人間の種の保存を危うくするものと疑われています。
例えば、人は男性の精子の数が極端に少なくなったり、油壷でバイ貝は雌が雄化したり、アメリカ・フロリダでアリゲーターは子供のペニスが小さくなるなど、地球上のさまざまな場所で危機的な徴候が観察されています。
今年10月(10.3.1997)、厚生省から報道発表資料「抗菌剤入ポリカーボネート樹脂製食品用器具の回収について」が緊急情報として出されました。
その食器は、スヌーピーまたはベアーズドリームの絵柄が付されたもので、平成8年10月から販売され、「今回の対象22製品のうち、7品目について、大阪市等が検査を行ったところ、同製品から、同樹脂の主製造原料(モノマー)であるビスフェノールAが基準値(500ppm)を超えて検出されたため、大阪市は、9月16日及び9月30日、同社((株)オーエスケー)に回収命令を発出するとともに、抗菌剤を混合した同種樹脂を使用している15品目についても回収するよう指導した。」と、回収を進めているものです。
詳しくは厚生省のホームページで確認してください。
環境ホルモンが心配されるなか、プラスチックを使う上で、次のリポートが参考になると思います。
アメリカ環境保護局(EPA)の Potential of Chemicals to Affect the Endocrine SystemというQ & A集(問答集)です。その中の13問目に13) Should people stop using plastic containers and
plastic wrap when storing or heating up food?(私たちは食物を保存したり温めたりするときに、プラスチック容器やプラスチック・ラップ(フィルム)を使わないほうがよいのでしょうか?)というものがあります。
その答えを要約すると、「FDA(The Food and Drug Administration )は、食品包装について規制基準を設けています。現在承認されているものについては、食品に直接触れても大丈夫な化学製品をリストアップしています。それらについては安全性は確認されていますし、食品への移行があるとしてもごく微量であると思われます。FDAは、当該の食品包装材の食品への移行レベルについて、引き続き調査し、もし健康被害を起こすような潜在的な因子が見つかれば、そのデータを規制基準に反映させていきたいと考えています。
食品包装材は、(製造者側が)意図したような使われ方でのみ安全性がテストされています。言い換えると、プラスチックは使い方を間違えると大変危険な素材でもあります。
例えば、温めることができるもの、冷凍保存に適しているもの、直接電子レンジにかけられるものは、それぞれ限定されています」という答えでした。
冷凍シュウマイなどを冷蔵庫から出して、プラスチックのコンテナーのまま電子レンジで温めたことがありますが、これはどうも危険なようです。素材自体はポリエチレンで安全だとは思うのですが、電子レンジに耐えられるか心配です。気をつけましょう。
プラスチックの種類はたくさんあり、専門家が見てもなかなか判断ができないそうです。それで、Our Stolen Future の著者の一人Theo Colborn博士は次のように言っています。
「少なくとも生産者が、このプラスチックは性ホルモン類似の作用をするような物質が溶け出すことはない、とラベルなどに記入し、保証するまでは、温めたり電子レンジにかけたり、直接舐めたりしないほうがよさそうです。」
現在、プラスチック関係でホルモン類似の作用(hormone-like action)をすることが疑われているものは、フェノール樹脂(ベークライト)、可塑剤として大量に使用されているフタル酸エステル、そして上の記事にあったプラスチックの原料の一つのビスフェノールAです。
OECD(Organization for Economic Cooperation and Development)は、環境ホルモンの問題に強い懸念をもち、1996年9月から各国と協力して化学物質の規制基準改訂に取り組んでいます。