リラックスと労務管理

健康・スクラップブック


リラックスと労務管理

   オハイオ州立大学健康管理センターの「ストレスマネージメント・プログラム」では、リラックスの方法としてさまざまな方法が取り上げられています。
 スエーデン体操、ヒーリング(癒し)、瞑想療法、気功、ヨーガなどですが、そこから何か学べないものかと思っていましたら、意外なことにアメリカの大学病院では、東洋の密教めいた修行法を取り入れているのでした。
 一方、日本で最近流行しているのは、アロマテラピーとかハーブなど、香を楽しむリラクゼーション。そして、温泉とマッサージを合体したような、クワハウスへの小旅行です。どちらかというとヨーロッパ風の雰囲気の中で、疲れた体を癒しているようにも思えます。
 いずれにしてもリラックス法は、普段と違ったことことをして気分をかえるとか、趣味にあったものを選ぶことが大切なのでしょう。

 ところで、平成9年度の「厚生白書」が発表されました。
 現代社会の「心の健康」が大きく取り上げられており、85ページにはストレスの対処法が記されています。

  1. 相談相手家族や友人など何でも話せる相談相手をもつことが大事である。
  2. 運動運動はストレスの解消に効果がある。特に歩行、ジョギング、サイクリングなどの適度で持続的な有酸素運動がよいとされている。
  3. 自律訓練法
  4. バイオフィードバック法
 (最後の2つの項目は、主に医師が治療目的で行うもので、対処法として個人が安易に導入することはよくないと思うので省略しました)
 また、平成8年度の「労働白書」には、労働者の健康確保対策(81ページ)に関して、「賃金労働時間制度等総合調査」のうち「企業規模別労働者に対する健康管理制度の企業数割合」(労働省1994年)という、企業の健康管理制度の統計が掲載されています。
 メンタルヘルス対策(カウンセリング制度を含む)を実施している企業割合は平均7・8%で、従業員1000以上の企業では約40%なのに対して、100人以下の中小企業ではほとんどゼロに近く、企業規模間の格差が広がっています。

 中小企業でも情報化の進展が進み、労務管理の面でも変化が起きつつあります。情報化の与える女性労働への影響について次のような調査が参考になるでしょう。

人事労務管理面の変化
該当企業割合
情報化への対応のため残業が増加した13.4%
仕事量の偏在が生じた19.5%
女性社員の戦力化が行われた35.5%
情報化への対応のため残業が増化した13.4%
中高年に適応できないものがみられた24.7%
情報化教育の必要性が高まった73.3%
ストレスやVDT症候群の問題が出てきた6.3%
賃金制度の変更が行われた3.8%
アルバイトやパートの採用が多くなった10.0%
人事に情報化適応力が加味されるようになった16.5%
 日本労働研究機構「情報化の進展および今後の社会動向への企業の対応に関する実態調査(1996年)から抜粋

 情報化によって残業が増えたばかりでなく、家へ帰ってまで情報技術の学習が必要となり、自分の時間が極端に少なくなっています。また、この統計から言えそうなことは、忙しい人は更に忙しくなり、そうでない人は暇になるという仕事量の格差。これにより、真面目で有能な人への負担が重くなり、ストレスが集中してかかっていると思われます。
 実際、「職業生活上強いストレスを感じるのはどんな問題か」という調査(労働省)では、仕事の質、量の問題が一番です(次に職場の人間関係、仕事への適正の問題が続く)。これは管理職、専門技術職、一般事務職に共通しています。

 そして困ったことに、これらのストレスは、個人として対処できる度合を大きく超えてしまうことが、しばしば起こっていることです。例えば、燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)、過敏性大腸症候群、無気力症候群。ストレスが原因と思われる摂食障害(神経性食欲不振症)、被害妄想、仮面鬱病などが、働き盛りの人を襲うことです。
 私たちは、明らかにシステムからの助けを必要としています。


用語解説:VDT症候群 VDTとは visual display terminalの略称で、コンピューターの端末で使われる画面のことです。最近、これを長時間使用すると、体にもいろいろな障害が出現することがわかってきました。
 例えば、目の疲れ、視力低下、肩こり、頭痛、腰痛、手足の痛み・しびれ感、疲労感、イライラなどです。VDTの使用にともなって現われるこれらの症状をVDT症候群と呼んでいます。
仮面うつ病 精神症状よりも身体症状が目だっているうつ病。うつ病には、頭痛、動悸、胸部苦悶感、食欲不振、便秘、下痢、倦怠感、不眠などの身体症状を主訴とする人がいます。このため、本人は内科や婦人科を受診することが多くなるのですが、うつ病であることが見逃されると、治療を受けてもなかなか症状が改善されません。
過敏性大腸症候群 大腸の機能障害であり、便秘や下痢などの便通異常、腹痛などの腹部症状を訴えるが、器質的な病変が見つからないもの。腸の運動・分泌障害による機能性の障害であり、症状の経過に精神的要因の影響が大きく、多くは心身症として扱われます。
その他のキーワード: 心療内科
参考資料:厚生白書(平成9年)、労働白書(平成8年)、「ストレス社会と管理者の対応」内山喜久雄先生(経済法令研究会)
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