卵は、一人当り年間11.11kg、個数にして約300消費しています(平成5年 家計調査年報--総理府)。
食の欧風化など食生活のパターンが変わったと言われますが、卵の消費量は30年前とほぼ同じ。そして、驚くべきことに価格の方は下がる傾向にあります。
安価で栄養豊富な卵の供給は、養鶏の事業規模の拡大により実現されたとされます。1985年では、養鶏農家一戸当たりの鶏数は約1000羽でしたが、1992年には1万5900羽(11.26修正)になり、10万羽以上の養鶏場が40%を占めるまでになりました(「畜産統計」農林水産省)。こうなると、養鶏場というよりも「卵生産工場」という名称がふさわしいようでもあります。
また、鶏種改良や飼料、輸送手段、動物医薬品、そして養鶏技術の進歩が、大規模な卵の生産をバックアップしてきました。
しかし今、この安定したシステムが、食品の生産に都合がよいと同時に、免疫力の弱い鶏を生み出し、新種のバクテリヤにとっても恰好の場になってしまったようです。
サルモネラワクチン?
これは新聞の不確かな情報(11.7.1998 東京新聞夕刊)ですが、イギリスでは雌鶏へのサルモネラワクチンの投与が始まるらしいです。
不確かという意味は、特派員が日常生活をスケッチするみたいな体裁で書かれており、裏づけがないためです。
厚生省の「食品衛生調査会乳肉水産食品食中毒合同部会議事録」(12.5.1997)によると、日本ではヒナへのサルモネラワクチンの接種は、承認されていないので、厚生省としてはこれから農林水産省に検討を要請すると書かれています。また、新技術として注目される放射線の照射(FDA のsafer eggsより)も禁じているらしいです。
鶏と抗菌剤
抗菌剤耐性は、農林水産省の動物医薬品検査所が1992年から94年にかけて調査をし、「動物用薬品耐性菌特別対策事業成績」(動物医薬品検査所)で中間報告を行っています。
それを要約すると、「安い卵を安定供給する多頭羽畜産を経営するために、抗菌剤の使用は避けて通れないが、薬剤耐性菌の問題が社会的な関心を呼んでいるので、抗菌剤の適性使用を確保するため薬事法や飼料安全法、そして食品衛生法に基づき、規制を実施している。また、抗菌剤の新薬開発には莫大なコストがかかり、その開発スピードも急激に減速したので、これ以上薬剤耐性を増やしては大変なことになる。そこで、ニューキノロン系抗菌剤を一つの砦?と考え、その使用にあたっては二次選択剤としての使用に限定するよう指導していく」ということだろうと思います。
鶏はかなりナイーブで病気にかかりやすく、ことにケージ養鶏と呼ばれる大規模な経営下では、運動も日光浴もままならないのでストレスがたまり、それなりの薬剤に頼らないと卵を生まないようです。
それで、サルモネラでは、TC(タイロシン),SM(スプレプトマイシン),KM(カナマイシン),ABPC(アンピシリン)及びCP(クロラムフェニコール)、OTC(オキシテトラサイクリン)、EM(エリスロマイシン)、CEZ(セファゾリン)、ERFX(エロフロキサシン)、PCG(ベンジルベニシリン)、CX(クロキサシリン)の11種類それぞれの抗菌剤について、(抗菌剤が有効かどうか調べる)感受性試験が行なわれたそうです。詳しく書けませんが、日本では今のところそれなりの感受性をもっているようです。
世界の薬剤耐性対策
薬剤耐性問題は、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)の「Legal Issues Assoiated with Antimicrobial Drug Resistance」によると、さまざまな困難を抱えています。
今のところ多くの場合、ハイリスクなのは、免疫力の弱い子どもや老人、そして手術後の患者などです。