サルモネラ菌による食中毒が昨年から急増していることから厚生省は二日、原因食品として最も多く特定されている「卵類やその加工品」について「できるだけ熱を十分に通す。生や半熟の場合には調理後、すぐに食べるように」と注意を呼びかけた。
同省によると、昨年のサルモネラ菌による食中毒は三百五十件(患者数一万六千三百三十四人、うち死亡三人)で一昨年の二倍近い。ことし一月から五月末までの食中毒は三十一件千四百六十一人(うち死亡一人)で、昨年同期の三十七件二千百五十八人(同二人)よりは少ないが、一昨年の二十件千百九件(同一人)を上回っている。
厚生省は今後、汚染源や汚染経路の特定のため都道府県を通じ、食品の汚染実態調査を行う。また、欧米でも最近、サルモネラ菌による食中毒が増加していることから、国内の菌のタイプを詳しく分析して海外と情報を交換、発生予測を行う、としている。
東京新聞朝刊 6.3.1997
食中毒を起こす細菌は多くの種類があります。昨年来、被害が出たO-157や、上掲のサルモネラ、ブドウ球菌、腸炎ブビリオ、カンピロバクター、ボツリヌスなどです。
一般に食中毒を起こすと、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出ます。しかし細菌によっては、胃腸症状だけでなく、発熱、頭痛、関節炎などが加わります。更にO-157のように、神経症状が出たり、時には生命すら奪いかねないものもあります。
症状が軽い場合でも、食中毒が疑われるときは、すぐに病院へ行きましょう。
また、O-157で最近言われるのは、下痢が起こったときに、「下痢止めの薬を飲まないように」ということです。そこで、適切な応急処置をとるという意味で、細菌別の原因食材や症状の特徴についてレポートします。
| 症状 | 感染例 | 対策 | 大切なこと | |
| O-157 | 5〜10日の潜伏期間を経て、腹痛に加えて38℃前後の発熱。嘔吐・下痢に続いて血便 | アメリカでは、ハンバーガーやサンドイッチからの感染が確認されたが、日本では感染経路が解っていない。 | 食物の加熱と、手洗いの励行 | 常温に近いお茶か麦茶を与えて、水分補給する。 むくみなどがでた場合は、腎臓専門医のいる病院へいく |
| サルモネラ | 汚染食物を食べたあと、半日から2日後に吐き気や腹痛が生じます。続いて下痢、38℃前後の発熱、嘔吐などが生じます。 | 自然界に広く分布している。主にウシ、豚、トリ、イヌ、ネコ、ミドリガメなどに寄生しています。汚染卵から重傷食中毒が起きた例が報告されています。 | 割れてしまった卵は、すぐに食べるか捨ててしまったほうが無難 | 調理時に十分な加熱 |
| ブドウ球菌 | 吐き気・嘔吐に始まり、腹痛や下痢が伴います | 調理中、手指の傷や化膿部分から食物へ汚染 | 作られてから時間の経ったお弁当、おにぎり、おはぎ、卵料理などは敬遠する | |
| 腸炎ブビリオ | 汚染食物を食べてから、10〜24時間後に腹痛と水様便(血便もある) | この菌は塩水中で増殖する性質があるので、生の魚介類、寿司、刺身などが原因となっていました | ||
| カンピロバクター | 腹痛以外に発熱も見られますが、下痢を伴わない場合もあります | ニワ、トリ、豚、汚水中に多い菌です | 家庭ではペット類を食物に近づけないようにしましょう | |
| ボツリヌス | 軽度の吐き気や嘔吐に続いて、ものが二重に見えたり、まぶたが下がる、言葉が出にくくなるなどの症状が出ます | かつて、東北で「さんまのいずし」を食べて死亡した例があります。 | ボツリヌスが出す毒素は熱に破壊されやすいので、80℃で30分の煮沸により防ぐことができる | 自家加工の海産物や、保存状態の悪い瓶詰め類に注意 |
| ウェルシュ菌 | たいていの場合は軽い腹痛程度 | 糞便、土、水中などのに広く存在する。集団発生するケースが多い |