健康・スクラップブック


  疲れとビタミンB群
京都府立医科大学助教授 吉川敏一先生 ビタミンB群の働き
糖質,タンパク質,脂質をエネルギーに変える

 国民栄養調査によると,独り暮しの人の2〜3割が、ビタミンB1、B2の欠乏状態にあると報告されています。独り暮しの人は、食事が外食やインスタント食品に偏りがちになるため、栄養のバランスが悪く、B1を含む食品をあまり食べていないということがわかります。そのため、〃何となく疲れる〃という潜在的に「ビタミンB群」が欠乏している人が増えてきました。
 ビタミンB群には、代表的なものにB1、B2、B6、B12がありますが、そのほかにもさまざまなものが発見されています。B群として、グループでくくられているのは、その働きに共通する部分があるためです。
 人間の体は、糖質、たんばく質、脂質が分解されてエネルギーなどになり、それが活力源となるのですが、これらの栄養素がエネルギーに変わる際には、酵素が必要になります。ビタミンB群は、そうした酵素の働きを助ける「補酸素」となるものです。補酸素といっても、B群は、非常に重要な役割を担っており、このB群がなければエネルギーは産生されなくなります。B群は、いわば元気の素になるビタミンなのです。

B群が欠乏してくると
疲労感が続く。
肩こり,口内炎の原因にも

 ビタミンB群が欠乏してくると、一般的に「仕事や勉強に集中できない、昼間に居眠りをする、疲れやすい、肩がこる、口内炎ができやすい」といった症状が現われます。  それでは、B群の中でも代表的なB1、B2、B6,B12の働きとそれが欠乏したときの症状を個別に見ていきましょう。


  ビタミンB1
 糖質をエネルギーに変える酵素の補酵素として働きます。
 B群のなかでいちばん欠乏しやすいのがこのB1です。B1が欠乏すると、手足のしびれやむくみが出てきます。極端に不足すると、腱反射に異常が起こり、脚気という症状が現われます。今どぎ脚気になどなるはずがないと思うかもしれませんが、現実には脚気によって循環器に障害が起こり、心肥大を起こす例もあります。

ビタミンB2
 B2は、主に糖質、脂質、タンパク質ををエネルギーに変える酵素の補酵素として働きます。 また、最近では、過酸化脂質の代謝にも作用することがわかってきました。そのため、動脈硬化などもB2で予防できるのではないかとわれています。
B2が不足すると、目や皮膚の炎症、また口内炎などができたり、子どもであれば成長障害を起こすこともあります。

ビタミンB6
たんばく質の代謝に重要なな働きをします。
このB6が欠乏すると、皮膚炎が起こります。

ビタミンB12
 たんばく質の代謝に重要な働きをすると同時に、赤血球の産生にかかわっていることがわかっています。B12の欠乏症は、厳格な菜食主義者、また、手術で胃の切除をしたため、B12の吸収障害がある人などに多く見られ,欠乏すると神経痛、筋肉痛、悪性貧血などが引き起こされます。


   ビタミンB群の上手な取り方
B群は蓄えられない。
数回に分けてこまめにとる

 アルコール類をよく飲む人、甘いものが好きな人、清涼飲料水をよく飲む人、ご飯をたくさん食べる人、毎日激しい運動をする人は、摂取した糖質や脂質、たんばく質を効率よくエネルギーに変えるために、ビタミンB群を繁雑にとる必要があります。
 特に、毎日激しい運動をする人は、普通の人の10〜15倍くらいB群を摂取してください。それも、運動する前と運動した後にとることが大切です。
 また、B群は、とり方を工夫する必要があります。というのは、ビタミンB群は、水溶性のビタミンなので、体内に長時間蓄えておくことができません。そのため、毎日とる必要があるのです。理想は1日に何回かに分けてとることです
 ここで、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの説明をしておさましょう。
 ビタミンのうち、脂に溶けやすいA、βカロチン、D、E、Kなどは「脂溶性ビタミン」といわれ、肝臓、細胞膜、リポたんばくなどに存在しています。そのため、ある程度とりだめができます。しかし、その反面、Eやβカロチン以外は、ビタミン剤などの過剰摂取による障害が起きるることがあります。
 一方、水に溶けやすいB群、Cなどの、「水溶性ビタミン」は血液や細抱内外の体液中に溶けてさまざまな働きをします。しかも、一とおり体内に行き渡ると、余った分は尿に混じって体外に出てしまいます。そのため、とりだめができず、毎日何回かとる必要があるのです。最近は、B群が主成分のドリンク剤などが市販されています。こうしたドリンク剤を飲むときは、可能ならば一度に全部飲まず、2〜3回に分け、少しずつ飲むといった飲み方が効果的です。
 また、水溶性ビタミンは、水分に溶けやすいため、調理するときに水につけ過ざないように注意することも大切です。「何となくだるい、疲れる」といった症状のある人は、ビタミンB群が欠乏しているのかもしれません。(123ぺ−ジにB群を多くヘ食品や献立を紹介しておきますので、ぜひ活用してみてください。)

ビタミンB群が多く含まれる食品

ビタミンB1・B2が豊富な調理例
献立名ビタミンB1ビタミンB2
豚肉のにんにく炒め0.960.21
レバーのフライ0.22.16
豚肉とキャベツの辛味炒め0.960.21
豚肉のシュウマイ0.790.2
参考資料 「NHKきょうの健康」96年4月号 日本放送出版会

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